韓国では金利の高騰でさまざまな弊害に見舞われています。
『韓国銀行』が基準金利を上昇させているのは、そもそもインフレ対策のためです。また、アメリカ合衆国が政策金利を上げているので、追随しないと資金流出が起こりますので致し方ありません。
ですが、資金調達市場の金利上昇によって韓国企業は「資金干ばつ」という状況にさらされています。また、先にご紹介したとおり貸し出し金利が上昇すると同時に預金金利も上昇。
これにより資金が銀行に集中するという現象も生じています。
この銀行への資金集中がまた意外な事態を引き起こしているのです。「そういうこともあるのか」と日本人が驚くような話です。
韓国メディア『韓国経済』の記事から一部を以下に引用してみます。
年俸が2億ウォンの職場であるAさんは最近、定期預金再預金を控えて悩んでいる。
市中銀行預金金利が年5%台まで上がり、定期預金利子所得だけでも来年から「金融所得総合課税」の対象となる可能性が高まっている。
総合課税が適用されると、A氏の税率は15.4%から最高41.8%に高まる。
(後略)
年収2億ウォンですから、ざっくり1/10にして2,000万円のうらやましい職に就いているAさんは、預金金利の急騰によって税率が一気に跳ね上がるので困っているというのです。
これは盲点でした。
金融所得総合課税のワナ
韓国には、「金融所得総合課税」という制度があるのです。
これは、個人別金融所得(利子・配当所得)が年2,000万ウォンを超えると、金融所得を他の所得と合算して累進税率を適用する制度です。
2,000万ウォン以下の金額は15.4%(地方所得税を含む)の税率で分離課税されるのですが、超過分は他の所得と合算して6.6~49.5%の所得税率を適用する――のです。
例えば、年俸2億ウォンのAさんの場合、仮に3,000万ウォンの金融所得があると、まず、
2,000万ウォンに対して15.7%の「308万ウォン」が税金で取られます。
加えて――2,000万ウォンをオーバーした1,000万ウォン分には2億ウォンの所得と合算して、41.8%の税率と計算されます。
すると、1,000万ウォン ☓ 41.8%で「418万ウォン」の税金をオンして支払わないといけないのです。
つまり、3,000万ウォンの金融収入があったとして、
1,000万ウォン分 ⇒ 418万ウォン
小計:726万ウォン
の税金をAさんは支払うことになります。3,000万ウォンのうち726万ウォンですから、24.2%が税金でもっていかれることになります。
※当然ですが2億ウォンの所得の方にも通常どおり課税されます。
ワナに落ちる人が急増する予測
問題は、金利が上昇している中、この金融総合課税に引っかかる人が激増しそうなことです。
例えば、預金金利が2%なら預金が10億ウォンを超えないと引っかかりませんが、現在市中銀行の預金金利は5%を超えています。
つまり、4億ウォンある人は超えてしまうのです。
2020年には金融所得総合課税対象者は「17万8,953人」でしたが、このときはコロナ禍の中、韓国の金利はまさに史上最低でした。
韓国の国税庁は、金利が上がる中、金融所得総合課税対象者が急増すると読んでいます。
(吉田ハンチング@dcp)