先にご紹介した駐仏中国大使・盧沙野さんの妄言ですが、欧州では尾を引いています。王毅前外相といい、欧州に行って口を開けばロクでもないことしか言いません。
一番人権やら国の主権やらにうるさそうなフランスの中国大使がコレですので、わざとやっているのかと疑われても仕方ないくらいです。
やらかさないかなと見ていたら、やはり英語版御用新聞『Global Times』前編集長が発言していました。
胡錫進さんです。
胡錫進さんは『Global Times』編集長を務めて戦狼外交を牽引した人です。中国の気に食わないことがあると、中国共産党の主張を代弁するかのようなコラムを編集長直々に書いていました。
編集長を辞したのは2021年末日ですが、その後も『Global Times』で「HU SAYS」(胡が言う)というコラム(動画コラム)を連載しているのです。日本流にタイトルを翻案するなら「元編集長・胡の『オレに言わせれば』」といった感じでしょうか。
盧沙野大使に対する批判が世界的高まると、2023年04月24日、「HU SAYS」に次のような動画コラムが上がりました。
↑『Global Times』の「HU SAYS」動画コラム。いかにも小役人然とした人物が盧沙野さん/スクリーンショット
タイトルがすごいです。「France as a whole should protect Ambassador Lu’s right to express(全フランスは盧大使の表現の自由を守るべき)」です。
つまり、「旧ソ連邦を構成した国は主権国家ではない」という妄言を発しましたが、盧沙野大使には表現の自由があるから、それをフランスは守れ――などというタイトルになっています。
上掲の動画を見ていただければ分かりますが、胡錫進さんが述べているのは「これは長いインタビューであって、一部だけ切り離して盧沙野大使を批判するべきではない」ということです。
それは確かにそうかもしれません。
Money1でも先にご紹介しましたが、確かにフランスのテレビ局『TF1』は挑発的で、いささか意地悪でした(怒り出した顛末については以下の記事にまとめましたのでご参照ください)。
盧沙野大使が怒って挑発に乗せられた面はあります。
しかしながら、問題になっているのは盧沙野大使の「表現の中身」です。
誰も盧沙野大使の表現の自由を制限などしていません。それどころか好き勝手しゃべった結果、本音が出たとしか見えません。「盧沙野大使の表現の自由は守られるべき」――というのは擁護にも何もなっていないのではないでしょうか。
これは胡錫進さんのご意見ですが、中国共産党のために「おかしな主張」でも行うのがこの人の役割なのです。
アドバルーンを上げるのが主任務で、中国共産党がそれを許容しているのは御用新聞に掲載されていることからも明らかです。
(吉田ハンチング@dcp)