韓国軍の開発車両で事故がありました。
事故の内容は「またなのか?」と思わされるものです。
水陸両用であるはずの開発試作車両が水没
2023年09月26日、韓国軍海兵隊第1師団が拠点を置いている慶尚北道浦項市の海岸で、試験中の上陸突撃装甲車(KAAV-II)が浸水して沈没。
痛ましいことに搭乗していたメーカー技術者2人が亡くなりました。
このKAAV-IIは『国防科学研究所』(ADD)が開発中の車両で、上陸作戦などの際に使用するもの。海兵隊への配備が予定されており、試作車の試験中だったのです。
↑「KAAV」は例の台風被害で水没した『POSCO(ポスコ)』浦項製鉄所にも出動しました。
KAAVは、アメリカ合衆国『FMC』(現『BAEシステムズ』)が開発したAAV‐7A1を韓国内メーカーがライセンス生産したもの。韓国は140台運用中です。
今回事故を起こした「KAAV-II」は、上掲KAAVの後継機種になるべく開発中でした。
↑開発中の「上陸突撃装甲車-Ⅱ」について説明する『国防科学研究所』のページ/スクリーンキャプチャー
↑YouTubeに上がった「上陸突撃装甲車KAAV-IIがいかに革新的なシステムであるか。KAAV-2の議論まとめ!」という動画。ハングルが分からなくても面白い内容です
以下は韓国メディア『OBSニュース』の報道です。
↑YouTube『OBSニュース』公式チャンネル「[자막뉴스] ‘수륙양용’ 장갑차가 ‘침수 사고’.. 국내개발 해병대의 차세대 병기였다 / OBS 뉴스」
「ビーチから700m以上離れたところで試運転を行っていた」とのことですが、(浮航性がまだ十分でないのに)深いところまで誤って走行し水没したのか、はたまた水漏れがあったのか、まだ原因は明らかになっていません(2023年09月30日現在)。
しかし、上陸作戦で用いられるべき車両なので、水漏れがあったりしては、そもそもおかしいのです。
また水漏れするかどうかは陸上で十分実験しているでしょうから、ぶっつけ本番ということはあり得ず、だとすると試験運転中に何らかのトラブルで浸水したのか?と疑問が湧きます。
実は、韓国は過去に同様の事故を起こしています。
同様の事故は過去にもあった!
2010年07月29日、全羅南道にある水上操縦訓練場で、新型K21歩兵戦闘車の走破訓練中に浸水事故が発して沈没。乗車していた下士官1名が亡くなっています。
これ以前の2009年12月09日には、渡河演習中に浸水によってエンジンが停止。乗員の皆さんが命からがら緊急脱出するという事故が起こっています。
ヒヤリハットではありませんが、死者が出る前になんとかなったのではないでしょうか。
当時の調査では――総体的な設計不備が事故の原因であることが判明しました。
これによってK21装甲車の戦力化は2011年04月まで延期されたのです(その後もゴタゴタが続きました)。
このK21歩兵戦闘車のときも「浮航性に問題があるのでは?」と指摘されたのですが、今回の事故は「またか!」と思わされます。
歴史は繰り返すといいますが、一度目は悲劇で済んでも、二度起こすのは全く駄目でしょう。
(吉田ハンチング@dcp)