韓国ではまことしやかに「04月危機」説がささやかれています。
どこが危ないかというと、例のPF(プロジェクト・ファイナンス)に関して建設会社、PFによって不良債権が増加している金融機関です。日本ではあまり報道されませんが、現在韓国は非常に不景気なのです。
Money1でもご紹介してきたとおり、『泰栄建設』は事実上破綻の結果ワークアウトに入っていますし、銀行の不良債権は増加、『貯蓄銀行』は赤字に転落しています。
金融機関が流動性を提供できなくなるのが最悪で、そうなれば本当に危機です。ただし、韓国の金融当局は金融機関の健全性には問題がない、としています。
2024年03月27日、韓国の金融委員会と金融監督院などの関連機関は「民生活力向上のために中小企業・小商工人及び不動産PFなど脆弱部門に対する金融支援案」を議論し、プランについて公表しました。
PF絡みの箇所は以下です。
国民の住宅安定と不動産市場の軟着陸が重要であるため、官民合同でPF事業場に対する金融支援の強化と「建設会社のPF関連金融難」の解消を積極的に推進する計画だ。
正常な事業場は事業を円滑に推進できるよう、新規・追加資金を支援する。
PF事業者に対する保証供給を5兆ウォン拡大(25 → 30兆ウォン/住金公社-HUG)し、非住宅事業に対しても4兆ウォン(建設公済組合)の保証を導入するなど、計9兆ウォンを新規供給する予定だ。
また、事業性はあるが、一時的な流動性不足を経験している事業場に対しては、PF正常化ファンドから追加的に新規資金融資を許可する(ファンド造成額1.1兆ウォンの40%以内)。
建設会社に対しては、PF事業に関連する必要な流動性を積極的に供給し、金融難を解消する。
現在用意されている市場安定プログラム(85兆ウォン + α)を積極的に活用し、8兆ウォン*以上の流動性を迅速に供給する一方、不動産PF融資時の金利、各種手数料などの実態を点検し、現場と積極的にコミュニケーションを図っていく計画だ。
※PF-ABCP買取2.8兆ウォン、建設会社融資・保証4.2兆ウォン、P-CBO建設会社追加編入1兆ウォンなど
すでに走っている「市場安定プログラム」と「PF正常化ファンド」があるのに、新規追加で計9兆ウォンを用意し、PF正常化ファンドからの新規融資を許可する――といのです。
これはつまり、韓国の金融当局が「PF関連で流動性が足らない」と危惧していることを物語っています。端的にいえば「このままでは危ない」と考えているからお金を突っ込むのです。
――これは、邪推かもしれませんが、実はPF関連しての不動産業界、また金融機関の状態は、金融監督院が公表している状態よりずっと悪いのかもしれません。
04月危機は本当に起こるかどうかは分かりません。
今回ご紹介したとおり、金融当局が躍起になって抑えにかかっていますし、まあ『韓国銀行』の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁もいらっしゃるので、さすがにヘタを打つことはないとは思われるのですが……。
ただ、韓国はウソをつくので、04月危機が「絶対にない」とは言い切れません。なにせアジア通貨危機のときには「外貨準備高」について盛大にウソをついていた国ですから。
経済のきしむ様が見えてくるのは、いずれにせよ総選挙の後のことになるでしょう。総選挙までは政府も体裁を取り繕わないといけないからです。
(柏ケミカル@dcp)