中国「習近平の欧洲訪問」始まる。まずはフランス

広告
おススメ記事

出不精になっていた中国・習近平総書記が欧洲の3カ国を訪問することとなり、まずはフランスに到着しました。

習近平さんとしては、欧洲がアメリカ合衆国の味方をして中国と敵対しないように話をつけたいところ。フランスのマクロン大統領はそれを承知の上で、どう遇するのか――です。

中国共産党の英語版御用新聞『Global Times』はさっそく「中国とフランスは補完関係にあるという記事を出しており、その中で欧洲と合衆国の離間をも図る言説を披露しています。

以下に記事の一部を引用します。

(前略)
習近平の訪仏は、今年が仏中国交樹立60周年にあたるこの時期に行われた。

習主席の訪仏は、指導者交流を促進し、政治的信頼を強化し、中国と欧州の関係が安定的かつ着実に前進する契機になるとアナリストは見ている。

(中略)

ビジネス・フランスの報告によると、2021年現在で、中国は3年連続でフランスへの投資と雇用創出において最大のアジア諸国となっている。

航空宇宙、原子力、貿易などの中核分野における中仏交流はすでに実りある成果を実現しており、新エネルギーやデジタル経済などの新興分野の発展は新たな成長エンジンになる可能性が高い。

⇒参照・引用元:『Global Times』「Xi starts state visit to France, commends bilateral relations」

習近平さんがフランスを訪問したのは、2024年が仏中修好60周年の記念すべき年であったことが一つの理由です。

上掲部分がフランスと中国は補完関係にあって仲良くできる――と主張する箇所ですが、「新エネルギーやデジタル経済などの新興分野の発展は新たな成長エンジンになる可能性が高い」としています。

また『Global Times』は別記事において、

(前略)
二国間経済貿易関係の実りある発展は、双方の強固な協力基盤と高度に補完的な経済構造にある。

中国は製造業、エレクトロニクス、機械設備の分野で競争上の優位性を持っており、フランスは航空宇宙、原子力エネルギー、高級消費財、農産物の分野で優れている。

このような経済構造は両国に膨大な貿易と投資の機会を提供するだろう。
(後略)

仏中は得意な分野がそれぞれ違い、補完的としています。しかし、その過剰な生産性で欧洲を食い荒らそうとしている電気自動車などはどうでしょうか。フランスは自国企業である『ルノー』を守らなければなりませんね。

以下が、アメリカ合衆国とフランスの離間を図ろうと企んでいる箇所です。

(前略)
60年前、フランスは西側諸国として初めて中国と国交を樹立した。これは「当時の地政学的状況を合理的に分析した結果だった」。この決定を下した当時のフランス大統領シャルル・ドゴール氏は、フランスの「戦略的自治」を強く主張していた。

現在、フランスのマクロン大統領は、フランスとヨーロッパ双方の「戦略的自治」を繰り返し訴えている。

中国共産党中央委員会政治局委員で中央対外連絡弁公室主任の王毅氏は、02月にパリで開催された第25回仏中戦略対話でエマニュエル・ボンヌ仏大統領外交顧問と共同議長を務めた際、中国は欧州が戦略的自主権を強化し、自らの手で未来を切り開くことを支持すると述べた。

とはいえ、欧州の「戦略的自主性」がワシントンに支持されたことはほとんどない。

昨年のマクロン大統領の訪中では、台湾をめぐる米中対立にヨーロッパが巻き込まれないよう警告したが、米誌フォーリン・ポリシーは戦略的自治を「フランスの夢物語」と呼んだ。
(後略)

「フランスは、合衆国に影響されない戦略的自治を目指してきたのではないのか」というのが中国の認識です。

「(合衆国から離れた)戦略的自治を目指すなら中国と仲良くすべき」という言い草なのです。


↑フランスの三色旗(青・白・赤)はフランス革命のときに革命軍が付けた帽章の色に由来します。「自由・平等・博愛」を象徴し、このどれも中国にはありません。

しかし、中国は虫のいい主張をしているだけです。フランス国旗のトリコロールは「自由・平等・博愛」を意味します。そのような国旗を掲げている国が、一党独裁・個人崇拝・不自由経済の中国と仲良くするでしょうか。

中国共産党、中国メディアは自分たちがなぜ嫌われているのかよく分かっていないのです。

習近平さんは、この後、セルビア、ハンガリーに向かいます。

(吉田ハンチング@dcp)

広告
タイトルとURLをコピーしました