中国でも優良な不動産ディベロッパーといわれた、最大手不動産ディベロッパー『万科』(Vanke)ですが、経営が大変に傾いています。
中国当局が優良と判断した手前もあるのでしょう、『万科』は特別に融資を手配してもらえるなど優遇を受けています(例えば以下の記事で紹介した事例)。
ばかばかしいことに面子のためです。
キャッシュフローが懸念される『万科』ですが、資金の需要を満たすために、満期4年で銀行から総額147億2,800万元(約3,190億円)を調達することになりました。
発表によると、『万科』の完全子会社である『深セン九州不動産開発有限公司(深圳市九州房地产开发有限公司)』と『重慶西盤不動産有限公司(重庆溪畔置业有限公司)』は、それぞれ自社の土地を銀行に抵当に入れ、『万科』に銀行融資が受けられるようにした――となっています。
2024年06月30日時点で、『万科』の保証残高は524億9,800万元。
2023年末時点で上場企業の株主に帰属する監査済み純資産の20.9%まで占めています。
『万科』およびその持株会社が同社およびその他の持株会社に対して提供した保証残高は523億1,500万元に達します。
同社およびその持株会社が関連会社および合弁会社に対して提供した保証残高は1億8,300万元です。ただし、期限を過ぎた保証や訴訟に関わる保証はありません。
今回の保証によって、『万科』の外部保証総額は766億4,800万元(約1兆6,602億円)となりました。
2023年末時点での「上場企業の株主に帰属する監査済み純資産」の30.6%を占めることになります。
何を意味しているかというと「お金がない」です。
銀行融資を受けるために子会社の土地を担保に提供していることは、同社が急速に資金を必要としていることを示しています。また、総担保額が766.5億元に達していることから、財務状況の逼迫が見受けられます。
中国の不動産業界における苦境は変わっていません。
(吉田ハンチング@dcp)