「中国第2位の不動産会社『万科』飛ぶ危機」に政府が異例の支援。

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2024年03月11日、世界的な信用格付け会社『Moody’s(ムーディーズ)』が、中国第2位の不動産会社『万科』の格付け「Baa3」から「Ba1」に引き下げました。

「Ba1」は、「財務力が不十分、債務不履行の可能性がある」と判断される場合に付与されるレーティンで、要はジャンク債の格付けとしたのです。

『Moody’s』のシニアバイスプレジデントの曾啓賢さんは、「中国における不動産市場の低迷が長期化する中、『万科』の売買契約が減少し、資金調達へのアクセスを巡る不確実性が高まっていることから、今後1年から1年半の間に同社の信用メトリクスと財務の柔軟性、流動性バッファーが弱まるとのムーディーズの予測を反映している」としています。

曾啓賢さんは一般には難しい言葉を使っていらっしゃいますが、簡単にいえば「飛んでもおかしくない」と言っています。

専門家が指摘するまでもなく、『万科』は中国でもデフォルトの噂が出ている会社なのです。

――ここからが今回の本題です。

実に異例のことに中国政府が「『万科』ぶっ飛びを避けるべく、銀行に対して支援の強化を要請。それだけではなく、債権者に対し、民間債務の満期延長を検討するよう要請したことことが明らかになりました。

『Bloomberg』に「『万科』は同社初の社債デフォルトを回避するため、債務スワップについて複数の銀行と協議している」という報道が出ていますが、これは後ろで中国政府が動いているのです。

債務スワップというのは、債務の元本を、その金額に相当する社債(担保付き)と交換してくれないか――という内容です。

切羽詰まっているので、狙っているのは満期の延長です。(一応は)担保付きなので、貸し付けた銀行のリスクを軽減する効果も期待できます。もちろんその担保というのが、建設途中でやめたマンションとか――そういうものなら「ふざけんな!」なのですが。

なぜ中国政府が異例に支援しようとしているのか? ですが、

1.中国第2位の不動産会社が飛ぶと世界的な「脱中国」が加速する
2.『万科』が飛ぶと困る政治家がいる

などの理由が考えられます。

『万科』の筆頭株主は『深圳市地鉄集団』です。同社は国有企業で『万科』の株式を29.38%保有している――とされます。ですから『万科』は、まあほとんど国有企業なわけです。『万科』の危機が国有企業に波及するのも困りますし、倒れられたりしたらバックについていた政治家にも影響が及ぶ可能性があります。

いずれにせよ、中国政府は『万科』を飛ばしたくないようです。

「国有企業は飛ばしませんよ」という動きですから、これはとても自由経済の国とは申せません。中国は『WTO』からたたき出されるべき国なのです。

(吉田ハンチング@dcp)

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