毎年のことなので、去年の写真を使っても同じなのでは?――なのですが、2025年06月17日、中国広東省の「市」「県」が大雨・洪水によって丸ごと水没するという大陸的スケールの被害を受けました。

広東省は中国本土の南部沿海にある省です。今回の水害は、2025年06月11日に発生した台風1号「ウーティップ(蝶の意味)」の影響を受けたものです。
『ウェザーニュース』の台風1号の進路を見ると以下のようになっています。
⇒参照・引用元:『ウェザーニュース』「台風1号は暴風域を伴い大陸方面へ…」
広東省はまさに台風の直撃コースにあったわけです。しかし、大水害となったのは台風1号が東に抜けてからでした。
強まった南西モンスーンの影響で、広東省南部沿岸地域では大雨から豪雨が広範囲に降り、局地的には非常に激しい豪雨なりました。
06月17~18日、各地の当局は非常警戒警報を相次いで発令。
例えば「懐集県」は以下の避難勧告を出しています。
懐集県防洪緊急動員令
県内の広大な幹部・民衆の皆様へ:
近年、継続的な豪雨の影響を受け、県内の多くの郷鎮(街道)が深刻な被災に見舞われ、洪水による住宅の浸水、農地の浸水、道路の寸断などが発生し、群衆の生産・生活秩序に重大な影響を与えています。
県三防指揮部は、06月17日19時より防洪Ⅰ級応急対応を発動することを決定しました。
防洪Ⅰ級応急対応の発動期間中は、救援・当直・民生保障の要員を除き、県全域で「五停」――すなわち、停課(授業停止)、停工(工事停止)、停産(生産停止)、停運(運行停止、フェリー含む)、停業(営業停止)を厳格に実施します。
避難所を開放し、避難を必要とする群衆を速やかに避難させ、住民が安全な場所にとどまれるよう手配してください。不要不急の外出は控え、「人は外に出ず、車は道を走らず」の原則を徹底してください。
民生保障機関および各救援・災害対策チームは、飲用水・電気・ガス・交通・通信・住居・医療・防疫・食糧供給などの分野において、対策を強化し、救援・保障作業に全力であたること。
県内のすべての幹部・民衆の皆様は、県党委員会と県政府の統一指揮の下、全員動員・総力結集し、断固として人民の生命・財産の安全を守ってください。
懐集県人民政府
2025年6月17日
最後の一文はまるで悲鳴のようですが、増水はかつて経験したことがない未曾有のなレベルでした。
広東省水文局肇慶水文分局は、綏江懐集測候所で2025年06月18日07時05分に55.22メートルの洪峰(ピーク水位)を記録したことを確認しています。

これは警戒水位である0.0メートルを5.22メートル上回っており、同測候所設立以来、観測された最大の増水です。09時45分時点の水位は54.94メートルだった――とのこと。
各郷鎮は赤色警報で真っ赤になり、広東省肇慶市懐集県では県内19の郷鎮が被災。中心街の水没はもちろんのこと、ほぼ全域が水没するという状態に陥りました。

当局のまとめた情報によると(中途)被災人口は1万8,213人、緊急避難・移送された住民は9,022人。
懐集県の中洲鎮は壊滅で1万人以上が家を捨てて避難し、多くの車両が水没。低地にある商店の1階部分はすべて水没、大量の商品が洪水に流されました。

TikTokで配信を行ったある投稿者は、
「(06月18日09時の時点で)広東懐集は依然として“全市水浸”状態で、地元の人によれば『水没はすでに3日続いている』。実際に体験したら“泣きたくなるような気持ちだった”」
――と述べています。
『新華網』は、17日の時点で――、
広東省の多くの地域で豪雨赤色警報が発令され、茂名、陽江、江門、肇慶、清遠、韶関、恵州、河源などの市や県・区で、いずれも赤色警報信号が発せられた。珠海市、中山市などでも17日に豪雨赤色警報が発表され、全市で休校となった
――と伝えていました。
休校どころの騒ぎではありません。上掲の「懐集県人民政府」の告知のように「五停」であって、とにかく避難しろ!――という状態だったのです。
上記に登場する「肇慶市」というのは水害の名所のようなところで、2024年にも以下のように「ほとんど全域が水没」という被害に遭っています。
↑2024年04月18日〜23日のわずか5日間で 250mm以上の豪雨(色凡例でピンク)が南部・西南部を中心に市域の相当部分を覆っており、ほぼ全域が「水没」です。
広東省は被害甚大というしかありません。中国政府は被災者を助ける気など全くないので、被害に遭われた方は「自力更生」することになるのでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)









