韓国大統領に成りおおせた李在明(イ・ジェミョン)さんが訪日の後、訪米。2025年08月25日には、アメリカ合衆国のトランプ大統領と米韓首脳会談を行います。
米紙『THE HILL』は、2025年08月15日、「South Korea’s anti-American president is coming to Washington(韓国の反米大統領がワシントンにやって来る)」という記事を出しました。

これは、中国評論家として知られるGordon G. Chang(ゴードン・G・チャン)さんが寄稿したものです。
反米大統領とトランプ大統領との首脳会談が迫る08月20日、これに対する反論の記事が同じ『THE HILL』に掲載されました。

記事のタイトルは「Korea’s democracy prospers and the Korea-US alliance is intact(韓国の民主主義は繁栄し、米韓同盟は堅固である)」です。
執筆者は「Hak Jo Kim(Kim Hak-jo)」。在米韓国大使館の広報担当(Public Affairs Minister/minister-counselor for public affairs)です。

韓国メディア『中央日報』では、この記事を「駐米韓国大使館、『李は反米主義者』米コラムに真正面から反論」と紹介しました。
さて、本当に真正面から反論したものでしょうか?
以下に反論とやらを全文和訳します。
私たちは、『The Hill』に掲載されたゴードン・チャン氏の最近の論評について深い懸念を表明します。
同論評は大韓民国の民主主義、その大統領、そして米国との同盟について、不正確で誤解を招く描写を提示しました。
韓国の民主主義は国民のレジリエンス(強靭さ)を通じて発展してきており、今も繁栄し続けています。
同時に、米韓同盟は将来志向の包括的戦略同盟へと発展してきました。
李在明大統領のワシントンD.C.訪問とトランプ大統領との首脳会談は、この永続的で不可欠な同盟における、さらなる重要なマイルストーンとなるでしょう。
韓国の06月03日の大統領選挙に不正があった、あるいはわが国の民主主義が危機にあるという主張は、まったく根拠がありません。
韓国の民主主義は国際的に透明かつ活力に満ちていると認められています。
選挙は自由かつ公正に実施され、不正の証拠は見つかりませんでした。
韓国の独立した司法や主要政党からの異議が一切なかったことが、この事実を証明しています。
トランプ大統領、マルコ・ルビオ国務長官、そして世界各国の指導者たちは、公に李大統領の勝利を祝福し、韓国の民主的制度の健全性に対する信頼を再確認しました。
100を超える国々も同様に、韓国の民主主義の強さとレジリエンスを認めました。
李大統領は49.4%の得票を獲得しました。
これは1987年の大統領直接選挙導入以降、2番目に高い得票率です。
国民の多数の支持を得て選出された正当に選ばれた指導者に対する根拠のない攻撃は、単なる政治的批判以上のものです。
そうした攻撃は、韓国国民自身を軽視するものであり、重大な憲政上の課題を克服する中で彼らが示してきたレジリエンス、そして韓国が国際社会とのパートナーシップを支える信頼をも、ないがしろにするものです。
同様に虚偽なのは、尹錫悦(Yoon Suk Yeol)前大統領が内乱の容疑をでっち上げられたという主張です。
彼は違法に戒厳令を宣言した後、韓国の憲法裁判所により全会一致で弾劾されました。
尹氏に対する内乱の容疑は、公正な司法手続に従って判断されることになっており、これもまた民主主義の礎の一つを成しています。
彼は、韓国の他の犯罪容疑者と同様に、関連する法律と規則に従って扱われており、医療を受けられなかったという主張はまったく根拠がありません。
現韓国政府がソーシャルメディア上の表現の自由を制限し、市民を捜査し、宗教施設を急襲しているという主張は、明白に虚偽です。
むしろ、宗教関係者の一部が尹氏とその妻に賄賂を提供したというメディア報道上の疑惑に、多くの韓国国民が深い衝撃を受けてきました。
わが政府は、こうした虚偽と、それが大韓民国の国民に対して示す重大な侮辱や攻撃に対し、今後も断固として対応していきます。
李大統領が米国との同盟を弱体化させているという主張は、単純に誤りです。
李大統領は候補者の時から、同盟は韓国の外交と安全保障の礎であると一貫して述べてきました。
就任以来も、このコミットメントを繰り返し確認してきました。
「乙支フリーダム・シールド(Ulchi Freedom Shield)」共同演習は、計画どおり実施されています。
部隊の猛暑下での安全を確保し、年間を通じた均衡の取れた連合防衛態勢を維持するため、日程の調整は両政府間の十分な協議を経てのみ行われました。
烏山空軍基地での調査は、韓国が管轄する区域に限定され、米軍の人員や物資は関与しませんでした。
この同盟は、韓国の安全保障の礎であるだけでなく、地域の安定の柱でもあります。
また、両国は確固たる共同コミットメントの下、脅威と機会の双方に対応するため緊密に協力しています。
李大統領の指導の下、大韓民国は、この同盟を将来志向の包括的戦略同盟へと発展させ続けるでしょう。
李大統領のワシントンD.C.訪問とトランプ大統領との首脳会談は、将来の協力の進路を描く上で、決定的なマイルストーンとなるでしょう。
これに反する主張は、現実を歪め、長らくこの同盟を支えてきた超党派で多面的な協力を無視するものです。
もし前述の論評の寄稿者が、真に米韓同盟の発展を望むのであれば、李大統領の就任後初のこの重要な首脳会談を前に、根拠のない非難を広めるのではなく、同盟が前進し繁栄するためのこの機会を支持することこそが、責任ある行動です。
⇒参照・引用元:『THE HILL』「Korea’s democracy prospers and the Korea-US alliance is intact」
上掲を読んでいただければ、すぐにお分かりいただけますが、真正面からの反論などではありません。
屁理屈やすり替えの類いです。
何より、最も重要な主張「李在明は反米大統領である」について、なんら反論をしておりません。
「李在明は反米大統領」と認めた――ということでしょうか?
「これまで李在明(イ・ジェミョン)大統領は米韓同盟」にコミットメントしてきた――などといっていますが、「米韓同盟は重要だと述べること」と「実際に行動すること」は別です。
生来のウソつき、前科四犯の李在明(イ・ジェミョン)は、言行不一致です。
李在明(イ・ジェミョン)さんが大統領に就任して以降に、特別検察が内乱捜査という名目で、在韓米軍基地に侵入し、データを押収しました。
烏山空軍基地は、韓国空軍も敷地内に同居していますが、米韓SOFAに基づく“米軍施設”としてアクセス管理などを行うのが建て付けです。指揮系統上は米軍が上位にあり、侵入、データ押収などあってはならないことです。
何のデータを押収したのかは明示すべきではないでしょうか。北朝鮮や中国に情報が筒抜けになる国なのですから。
これが米韓同盟を重要と述べる政権のすることでしょうか?
また、毎年の米韓軍事演習「乙支フリーダム・シールド」が縮小されたのも「事実」です。
このウラに(大統領室からの指示による)北朝鮮への配慮があったというウラも取れています(チャン氏による)。
これが米韓同盟を重視する政権のすることでしょうか?
「部隊の猛暑下での安全を確保し、年間を通じた均衡の取れた連合防衛態勢を維持するため」などと述べています。
演習が縮小されたのは「暑さ」のためだそうです。韓国軍は暑いときに戦争をしないつもりなのでしょうか。
また「不正選挙はなかった」としており、チャン氏の指摘が不当と述べています。
さあそうでしょうか?
Money1でもご紹介したとおり、2025年05月23日、『アメリカ合衆国選挙監視団』(U.S. Election Monitoring Delegation)が訪韓。
06月03日に行われる大統領選挙についての「監視」を行いました。

その結果は、韓国の選挙は極めて透明性が低く、「韓国の選挙システムは北朝鮮・ベネズエラよりマシというレベルだ」というのが結論でした。
「同様に虚偽なのは、尹錫悦(Yoon Suk Yeol)前大統領が内乱の容疑をでっち上げられたという主張」というのも間違っています。
戒厳令の宣布は、韓国の憲法上、大統領固有の権利として認められており、それを行使するのに法的瑕疵はありません。また、戒厳の解除について、国会の反対によって行ってもおり、これまた法律に従ったものです。
ゆえに「内乱罪に当たる」という解釈がでっちあげ――という指摘にも説得力があるのです。ですから「内乱罪をでっちあげたのは虚偽の主張」という主張こそが虚偽――とだっていえるのです。
また、ソウル拘置所に入れられた尹錫悦(ユン・ソギョル)前大統領に対してひどい扱いをしているのも事実です。
尹錫悦(ユン・ソギョル)さんが糖尿病を患っており、病状が悪化して失明する危険があるというのに、医師にかかるのを許さなかった――などの嫌がらせを行っていました。
明らかな人権侵害です。
傑作なのは「尹氏に対する内乱の容疑は、公正な司法手続に従って判断されることになっており……」などと述べていることです。
中国外交部のよくいう「中国は法治国家である」にそっくりです。中国が法治国家でないのと同様に、韓国も法治国家ではありません。
中国では法律の上に中国共産党があり、韓国では法律の上に政治(与党)があるのです。だから、現在の韓国では政府与党『共に民主党』の思うさまに「判決」が出ます。
韓国では「政治的でないものなどない」のです。
司法もまた政治的であり、ゆえに韓国は法治国家ではないのです。
――このように、この在米韓国大使館報道官の寄稿はなんら反論になっていません。それどころか事実を歪曲した、ただの詭弁あるいは強弁です。
(吉田ハンチング@dcp)






