2020年03月19日に『韓国銀行』はアメリカ合衆国のFED(Federal Reserve Systemの略称:連邦準備制度)とスワップライン※1(韓国の言い方では「通貨スワップ」)を締結。すぐさまドルの調達に入りました。
この時期は世界的にドルの独歩高が進行し、ドルの流動性が著しく阻害された状況でした。韓国でももちろんドルが枯渇していたわけですが、その舞台裏の一端を明らかにする記事が、『韓国経済』に出ました。
なんと、韓国の国策銀行『輸出入銀行』が『サムスン電子』などの大企業からドルを調達しなければならないほどだった、というのです。
『毎日経済』の2020年06月18日の記事から一部を引用します。
(前略)
18日、関連業界によると、『サムスン電子』は、コロナ19で市場が凍りついた3月末に議論を始め、今月初めにも『輸出入銀行』の外貨建て私募債数億ドルを買収したと伝えられた。私募債は公開募集ではなく、投資家個別に接触して証券を販売する債券をいう。(中略)
しかし、3月末には、国内外の市場では、ドル品薄状態が発生した時期だ。金融機関がこの時ドルの流動性を十分に確保できない場合は、一時的な危機が来ることもある。
このように流動性梗塞時期にしっかりとした外貨準備を備えた『サムスン電子』のようなグローバル企業が国策銀行が発行した外貨建て債券に電撃投資し、危機を越すために重宝されたという裏話だ。
⇒参照・引用元:『毎日経済』「コロナ発のドル品薄時…大企業が輸銀を救った」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
「重宝された」じゃないだろ、です。
ドルが枯渇した『輸出入銀行』は、「そうだ! サムスンには外貨預金がたくさんあるぞ!」と思いつき、それを借りる算段をしたわけです。
「私募債を発行するから、それをドルで買ってよ」と『サムスン電子』にもちかけ、(恐らく渋々)了承を取り付けて、ドルを調達したのです(なにせ副会長が逮捕されそうですから)。
「私募債」というのは、一般に広く投資家を対象とする公募債ではなく、特定の投資家に絞って直接取引を行う社債(企業が発行する債券)のことです。証券会社は通しません。
これは、国策銀行としてはかなり体裁の悪い、もっといえば恥ずかしい話です。
以下はイメージ図です。
韓国の国策銀行である『輸出入銀行』でドルが枯渇していたという話に驚きます。なんで国策銀行にドルがないんだよ!です。
そりゃ、ドル流動性スワップを利用した第一次調達で一気に約80億ドルも借りるはめになるでしょう。
さらにこれは、06月25日、FEDにきちんと第一次の返済ができるのでしょうか、と心配になる話でもあります。
『韓国銀行』は(世界的に赤っ恥をかかないために)FEDに返済するでしょうが、市中銀行から『韓国銀行』にドルは返ってくるのでしょうか?
※1韓国メディアは「通貨スワップ」、時に「通貨スワップ協定」と呼称しますが、紛らわしいのでMoney1ではFRB(Federal Reserve Boardの略:連邦準備制度理事会)に従って「スワップライン」「ドル流動性スワップ」と記載します。本稿のタイトルだけはアンカーが韓国の表記に合せて「通貨スワップ」としています。
(柏ケミカル@dcp)