韓国の「関税庁」「通商産業資源部」『韓国銀行』ともデータを出していませんので(韓国が祝日でお役所が休みです)、元データに当たれないのですが「09月の輸出が前年同期より7.7%増加した」という報道が出ました。
韓国メディアの報道を見る限り以下のようになっています。
09月の輸入:391億7,000万ドル(対前年比:1.1%増)
貿易収支:88億8,000万ドル
これをもって韓国メディアでは「輸出が回復した」としていますが、本当にそうなのか?というお話です。
本当に回復したらなら「1日平均の輸出金額」も回復しているはず!
まず、「関税庁」のデータによれば2020年09月20日の段階で、09月01-20日の韓国の輸出金額は以下のとおりでした。
輸出金額:296億ドル
前年同期比:10.2億ドル増加(3.6%増)
確かに増加したように見えるのですが、実は同期間内に営業日が2日多いだけだったのです。
09月の1日平均で見ると以下のようになります。
2020年09月01-20日:19億700万ドル/日
輸出額が1日当たり「2億700万ドル減少」
前年同期比:9.8%減少
ですので、この時点で「輸出が回復した」なんて話は本当ではありませんでした。
実際、2020年09月に輸出が回復した!と「3.6%増」の数字を掲げた記事もありましたが、冷静に「9.8%減少」という記事を出した韓国メディアもあったのです。
09月も1日平均の輸出金額はマイナスではありませんか?
さて、今回の発表です。09月21-30日の元データに当たれないのでなんともいえないのですが、20日までで「マイナス9.8%」だったものが、10日間で「プラス7.7%」に転じるというのもヘンな話です。
輸出額の急騰でもあれば別ですが、果たして本当にそんなことになったのでしょうか。
もしかして、上記と同じように「営業日が2日多かっただけで、1日平均にしたらやっぱり前年割れでした」みたいな話ではないでしょうか。
傍証があります。韓国メディアの記事によると
(前略)
先月の総輸出480億5,000万ドルと一日平均輸出額は20億9,000万ドルは、すべて今年に入って最高値だ。
(後略)
⇒参照・引用元:『毎日経済』「[総合] 9月の輸出7.7%増…コロナ19以来7ヶ月ぶりに反発」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
となっているのですが、これはつまり営業日が23日あったことになります。
公表されている韓国の「国際収支統計」によれば、2019年09月の輸出額は「461億6,490万ドル」です(これについては増加しています:2日多かったので)。
2019年が2020年より営業日が2日少ないのであれば、これを21日で割って1日平均を出せばいいことになります。
すると、
461億6,490万ドル ÷ 21日 = 21億9,833万ドル
2020年09月の1日平均の輸出金額:20億9,000万ドル(対前年比:-5.0%)
となります。筆者の計算が正しいのであれば、輸出金額は決して対前年比でプラスになったのではない、というわけです。1日平均の輸出金額が対前年比割れと推測されるのですから。
残念ながら09月も輸出は回復しておりません。
半導体の伸びは「駆け込み需用」では?
また、以下のような記述もあります。
(前略)
私たちの輸出の1〜3位品目である半導体(11.8%)、一般機械(0.8%)、自動車(23.2%)は、輸出が23カ月ぶりに一斉に増加傾向を記録した。
(後略)
半導体が+11.8%となっていますが、これは例の『ファーウェイ』(Huawei:華為技術)の駆け込み需用があったためだと思われます。
先にご紹介したとおり、09月15日アメリカ合衆国の制裁が発動される前に出荷してくれ!と依頼があって、それに照準を合わせてドカドカ半導体を出荷しましたから、輸出が増えても当然です。
なにせ『ファーウェイ』は小売店からもDRAMをかき集めており、そのためDRAMの価格が上がっているという報道が出たくらいですので。
いずれにせよ祝日があけて当局から詳細なデータが公表されたら、本当のところが判明するでしょう。韓国にとってはもちろん上掲の邪推が間違っている方がいいのでしょうが。
重要な追記
2020年10月01日12:23
韓国メディア『毎日経済』から冷静な記事が出ました。記事のタイトルこそ「半導体・自動車攻勢…韓国輸出、コロナ突き抜け反発成功」となっていますが、きちんと「操業日数の効果を排除する場合一日平均の輸出は4.0%減少した」と書いています。
(柏ケミカル@dcp)