『韓国銀行』が2020年11月20日に行った一般向け「中央銀行間『通貨スワップ』の理解」という講義の内容についてご紹介しています。第一章の「通貨スワップ」の概念説明についての最後の部分に、注目すべき点があります。
第4節は「중앙은행 통화스왑의 형태(中央銀行通貨スワップの形)」となっているのですが、最初に「契約通貨による区分」がきているのです。
両中央銀行がそれぞれの自国通貨を交換するスワップで、大半の中央銀行間の通貨スワップがこれに該当する。
例)『韓国銀行』が締結している二国間の通貨スワップ(カナダ、スイス、中国、オーストラリア、マレーシア、インドネシア、UAE)
米ドル通貨スワップ:
リクエスト銀行が自国通貨を対価として米ドルを受け取る
例)アメリカ合衆国FRBの『韓国銀行』など14の中央銀行間通貨スワップ
ASEAN + 3(CMIMcChiang Mai Initiative Multilateralization)
『韓国銀行』は、「自国通貨同士」と「ドルを支援してもらえる」の2つに「通貨スワップ」を分けているのです。確かにそういう区分もあるでしょうが、「二国間」「多国間」といった分類を第一にしそうなものです。このような区分があるというのは、とりもなおさず「ドル」の入手を『韓国銀行』がいかに重要視しているかの証左です。
思い当たるのは、「日韓通貨スワップ」への粘着姿勢です。多くの方がご存じでしょうが、日本は韓国に対して(よせばいいのに)円・ウォンの自国通貨枠以外に「ドル融通枠」として300億ドルを新設したことがあります(2011年10月19日:既存の100億ドルと合わせて400億ドルに増額)。
これなどは、まさに上掲の区分の「米ドル通貨スワップ」に当たります。(自国通貨がドルのアメリカ合衆国を除けば)こんなことを行ってくれるのは日本ぐらいなものです。
いまだに隙あらば「日韓通貨スワップ」などと言い出すのは、この「米ドル通貨スワップ」を増やそうと目論んでいるからではないでしょうか。
一応付記しますが、『韓国銀行』の「中央銀行通貨スワップの形」の説明は、「2.契約相手国数による区分」「3.有効期限の有無による区分」と続きます。
(柏ケミカル@dcp)