中国企業の発行した社債などの債券から投資家が逃げ出しているという話が中国語メディアでも見られるようになっています。
「228.4兆円」の債券を償還できますか?
なにせ、先にご紹介したとおり、2023年までに満期を迎える債券の総額が「2.14兆ドル」(約228兆3,960億円)という天文学的な数字だというデータがあります。
また、国有企業であろうが、名の通った大企業であろうが平気でデフォルトを起こしますし、中国共産党当局ももう助けるつもりはないのでないか(助けることができない)という観測が強まっているからです。
デフォルト問題でご紹介した中国最大のバッドバンクとして知られる『中国華融資産管理』など、債券発行で511.1億ドル(約5兆5,587億円)の債務を抱えています。これだけで気の遠くなるような金額ですが、このうちの60%(約306.7億ドル/約3兆3,352億円)ほどが2023年までに満期を迎えます。すでに非常に苦しい状況になっていることは、債権者である銀行の承認を得て約1億ドル(約109億円)の債務の繰り延べを行ったことからも分かります。また、保有株の売買を勧めているのです。
デフォルトを起こしそうな国営鉄道会社と電力会社
他にも注目されているのは、『中国国家鉄道グループ(中国国家铁路集团公司)』『国家電網(中国国家电网公司)』です。
『中国国家鉄道グループ』は国営の鉄道会社、『国家電網』は国営の電力会社ですが、2023年末までにそれぞれ「約900億ドル」(約9兆7,884億円)「約140億ドル」(約1兆5,226億円)の債務を償還しなければなりません。
ちなみに『中国国家鉄道グループ』は、(よせばいいのに)いらないところにまで高速鉄道を引いて赤字路線を拡大し、負債まみれになっていることで有名です(とにかく採算度外視で営業距離を伸ばしてきました)。
どちらも非常に重要なの国営企業ですが、デフォルトを起こさないとは限りません。
実際、2021年に入ってから第1四半期のデフォルト金額はすでに約147億8,000万ドル(約1兆6,075億円)に達しているのです。何度もドル建て債券のデフォルトを起こした『紫光集団』(出た!)に対して、『シティグループ』香港部門は元利を返済せよと2021年02月に訴訟を起こしたりしています。
――このような状況ですから、海外の投資家が中国企業の債券から逃げ出すのは当然とえいるでしょう。読者の皆さまも中国企業の債券には十分ご注意くださいませ。
(吉田ハンチング@dcp)