中国の不動産市場の現況はどうなっているのか? いまだに焼け野原なのか?
答えは「YES」です。
2025年05月19日、中国の国家統計局が「2025年1—4月份全国房地产市场基本情况(2025年1~4月期 全国不動産市場の基本状況)」を公表しました。
一、不動産開発投資の実施状況
2025年01~04月期において、全国の不動産開発投資は2兆7,730億元で、前年同期比10.3%減少した。そのうち、住宅への投資は2兆1,179億元で、9.6%減少した。
2025年01~04月累計の不動産への投資金額は「10.3%減少」ですが、ご注目ただきたいのは、
01~02月:-9.8%
01~03月:-9.9%
01~04月:-10.3%
――と、時間がたつにつれ状況が悪くなっていることです。
では誰が資金を入れているのか? 「不動産開発業者向け資金」のデータが以下です。
01月から04月までの不動産開発業者向け資金は3兆2,596億元で、前年同期比4.1%減少した。
そのうち、国内融資は5,619億元で0.8%増加。外資利用率は16億元で、82.0%増加した。
自己調達資金は1,0953億元で6.8%減少した。
預金・前払金は9,683億元で3.0%減少した。個人向け住宅ローンは4,518億元で8.5%減少した。
中国の不動産開発など「おから工事」連発が国民にもチョンバレしており、完成するかどうかも分かりませんので、現在の状況ではお金を入れようという奇特な人を期待するのが難しい状況です。
実際、個人向け住宅ローンも対前年同期比で「-8.5%」となっています。
「不動産開発業者向け資金」全体で「-4.1%」と対前年同期比割れが継続しています。そりゃそうなるよね――です。
今回発表された「建築着工面積」「住宅新規着工面積」など全てのデータが以下です。
対前年同期比は太い赤字にしていますのでご注目ください。
表1 2025年01~04月分 全国不動産開発および販売状況
不動産開発投資(億元:27,730(-10.3%)
⇒ 住宅:21,179(-9.6%)
⇒ オフィスビル:1,108(-16.7%)
⇒ 商業営業用不動産:1,982(-8.3%)建築着工面積(万平方メートル):620,315(-9.7%)
⇒ 住宅:431,937(-10.1%)
⇒ オフィスビル:26,864(-5.6%)
⇒ 商業営業用不動産:54,420(-9.6%)住宅新規着工面積(万平方メートル):17,836(-23.8%)
⇒ 住宅:13,164(-22.3%)
⇒ オフィスビル:483(-30.6%)
⇒ 商業営業用不動産:1,118(-22.2%)建築竣工面積(万平方メートル):15,648(-16.9%)
⇒ 住宅:11,424(-16.8%)
⇒ オフィスビル:471(-9.5%)
⇒ 商業営業用不動産:1,120(-18.4%)新築商品住宅販売面積(万平方メートル):28,262(-2.8%)
⇒ 住宅:23,853(-2.1%)
⇒ オフィスビル:664(-6.7%)
⇒ 商業営業用不動産:1,644(-6.4%)新築商品住宅販売額(億元):27,035(-3.2%)
⇒ 住宅:23,866(-1.9%)
⇒ オフィスビル:839(-12.3%)
⇒ 商業営業用不動産:1,521(-13.3%)商品住宅待販売面積(万平方メートル):78,142(4.8%)
⇒ 住宅:41,703(6.6%)
⇒ オフィスビル:5,172(-0.9%)
⇒ 商業営業用不動産:14,510(2.1%)不動産開発企業実際到達資金(億元):32,596(-4.1%)
⇒ 国内貸出:5,619(0.8%)
⇒ 外国資金:16(82.0%)
⇒ 自資金:1,0953(-6.8%)
⇒ 定金および前受金:9,683(-3.0%)
⇒ 個人按揭貸款:4,518(-8.5%)
上掲のとおり「アカばっか」です。対前年同期比割ればかりです。
最後の項目「不動産開発企業実際到達資金」にも特にご注目いただきたいのは部分があります。
「外国資金」です。
対前年同期比で「+82%」となっていますが、たったの16億元しかありません。外国人投資家は中国本土の不動産開発にはすっかり資金を投じなくなっているのです。
――というわけですから、中国の不動産市場はいまだに惨状を呈しています。
(吉田ハンチング@dcp)