消費が冷え込んで中国第一の商都・上海ですら、繁華街が閉店ラッシュとなっていると伝わります。
実際に中国の景況感はどうなっているのでしょうか。現地日本企業をつなぐ『日本商会』がアンケート調査を行い、そのリポートが05月15日に出ています。
在中国日本企業約8,000社を対象とし、2024年03月18日~04月12日の期間にアンケートを実施、1,741社(製造業1,067、非製造業658、公社・団体16)より回答を得て、リポートは取りまとめられました。
2024年の中国国内の景況についてどう予測しますか?
改善……1%
やや改善…………14%
横ばい……34%
やや悪化……35%
悪化……15%
「改善」「やや改善」は合算して「15%」しかいません。「横ばい」は中位でしょうが「34%」。対して「やや悪化」「悪化」は合算して「50%」。
2024年の中国の景気は悪くなると見ている企業が半分に及ぶわけです。
2024年01月に出たリポート(第二回調査)では、「やや悪化」「悪化」を足すと「44%」でしたから、「悪くなる」と見ている企業が増えています。
興味深いのは、所在地における事業環境についての回答です。
中国全体 2024年Q11-1.「所在地の事業環境の満足度について、ご選択ください」
非常に満足……3%
満足……54%
改善してほしい……40%
非常に改善してほしい……3%
これは事業をどこで営んでいるのかによって満足度は変化します。地方政府ごとに対応が変わるからです。
「満足」が「54%」となっているのは意外ではないでしょうか。注目ポイントは――「改善してほしい」「非常に改善してほしい」と回答した企業の、具体的な不満がどのようなものか――です。
「非常に改善してほしい」および「改善してほしい」
回答数:749• ビザなし渡航を再開し、人の往来が活発になれば、日中間の誤解解消につながり、ビジネスチャンスが拡大する。
• 本格的な経済対策を打ち出してほしい。
• 外資企業にも支援策を創設・拡充してほしい。
• 中国企業・商品が優遇され、日本企業・商品を排除する動きがある。
• 価格だけの評価ではなく、品質も評価に加えるべき。価格だけで評価していては、高い品質の製品は生み出されない。
• 規制が突然変更され、時間的な猶予もなく、すぐに対応を求められる。また、規制の内容も地方政府ごとに異なる。
• 環境規制や安全規制が法令で定められている以上に厳しい。また、突然な検査が入り、準備不足で対応できない。さらに、部門や担当者によって見解が異なる。
• 昨年は少なかったが、この夏、電力の使用制限はやめてほしい。
• 不動産価格は下落しているのに、家賃が高騰している。
• 人件費が高騰している。また、技術人材や管理人材の獲得が難しくなっている。
地方政府の急な規則変更によって、振り回されることもあり、また電力制限が行われる、日本企業・製品だからと排除されることも経験していらっしゃるようです(完全な『WTO』ルール違反です)。
中国で商売をするというのは並大抵ではありません。
(吉田ハンチング@dcp)