2021年に入ってから、韓国証券市場において外国人投資家は、株式は売り越し、債券は買い越し、という態度を取っています。
以下が2021年01~05月の累計金額です。
株式:-154.7億ドル(約-1兆6,949億円)
債券:+259.8億ドル(約2兆8,464億円)
韓国の株式市場からは約1.7兆円も資金を抜いているのに、債券市場には約2.8兆円も投入しています。
この株式市場、債券市場での態度の差は韓国でも注目されており、韓国メディアでもしばしば取り上げられます。なぜ外国人投資家は韓国の債券を買うのだろう?というわけです。
韓国の債券を買うのはなぜ?
韓国メディア『毎日経済』も、05月に外国人投資家が46億ドル分(約4.5兆円)買い越したことに着目し、「先月だけで5兆ウォンも購入したのはなぜか」という記事を出しています(2021年06月11日付け)。
この記事によると、外国人投資家は「アメリカ合衆国を中心にインフレ懸念が高まる中、安定した収益を提供する投資先である韓国債の人気が高まっている」からだそうです。
記事から一部を以下に引用します。
(後略)
この記事では、同じ「AAA」クラスと格付けされている国として「イギリス」を挙げ、韓国債の方が利率が高いとしています。
韓国3年物国債金利:1.28%
※2021年06月11日現在
国債の金利というのは基本的に信用の置けない国ほど高いわけで、同じAAAクラスというのもいかがなものかではありますが、同記事では以下のようにも述べています。
安定性も外国人投資を導くチャームポイントだ。
この関係者は「相対的に韓国債券はファンダメンタルズが堅牢で、安全な債券に向かって資金がより投じられる環境が形成されている」とし「株式や債券に投資を行う資産運用会社がある場合、株式を売って債券により多くを投資する動きがでている」と述べた。
(後略)
韓国債は相対的にファンダムメンタルズが堅牢で安定的だからだそうです。
「相対的」と書いていますので、まあどこと比べるかなわけですが。政府・企業・家計の三部門で負債がじゃぶじゃぶ増えており、ファンダメンタルズがぐらぐらするかもしれないのにその点はいいのでしょうか。
ぐらぐらすると安定的という評価が下がり、韓国債券の評価も下落するかもしれません。だからこそ韓国は信用格付けが下がることを異常に気にしているともいえます。
(吉田ハンチング@dcp)