Money1では何度もご紹介していますが、韓国の地下鉄は全て赤字です。中でも人口の多いソウル市の地下鉄は大赤字です。政府が赤字を補てんして成立しています。
ソウル地下鉄を運営する『ソウル交通公社』は、2020年には「1兆1,137億ウォン」(約1,080億円)の赤字です。
2021年はこの赤字がさらに膨らみ、1兆6,000億ウォン(約1,552億円)規模になると予測されています。
ソウル市の補てん額が昨年の1.5倍になる
赤字はソウル市も補てんすることになりますが、2021年10月25日、ソウル市は来年度の予算に「2,192億ウォン」(約213億円)を盛り込みました。
2021年度が「1,506億ウォン」(約146億円)でしたので、補てん金額はほぼ1.5倍(正確には1.456倍)に膨らんだのです。
慢性赤字の地下鉄なのですが、新線の開発も行っており、その分の費用も見込んでいます。
世にもあほらしい赤字をいつまで続けるのか
ソウル地下鉄が赤字なのは、何度もご紹介しているとおり、料金設定がおかしく、旅客を運べば運ぶほど損をするからです。また、高齢者無料乗車制度を設けているためです。
黒字にするのは簡単で、運賃を適正価格に値上げして、高齢者無料乗車制度をやめればいいのです。
しかし、ポピュリズム政治を行っている韓国では市民の反発を恐れて、政治家がこの決断をしません。04月の補欠選挙で市長となった呉世勲(オ・セフン)さんも「値上げに消極的」で、「値上げは自助努力を行ってから」などと述べる始末。
一方のソウル地下鉄を運営する『ソウル交通公社』、社長が「従業員の給料も支払えない」と嘆くほど困窮しているのに、です。
政府(地方政府含む)が「自助努力をしろ」などろいうものですから、公社側では従業員を削減などのプランを出したところ、今度は従業員が「ストも辞さず」という猛烈に反発しました。
当たり前です。
誰がどう考えても運賃が適正価格でないのが赤字の原因ですから。従業員の皆さんがクビを切られるかもしれないのは、政府・政治家が決断しないからです。
もう何度だっていいますが、政府が補てんしているということは国民の税金が投入されているのです。足らないお金を国民が負担しているわけで、つけ回しに過ぎません。それなら適正な運賃を支払って乗ってもらう、適正な運賃を国民に負担してもらう方がよほど健全です。
つまり、いつまでも「公社」で運営しているのがそもそもおかしい、ともいえます。
政治家が決断するだけなのにできない。自分の人気が落ちるのがイヤなだけではないでしょうか。
かくして韓国の地下鉄は、世にもあほらしい赤字でいつまでも続けるのです。
(吉田ハンチング@dcp)