11月も中旬になりました。
10月に見送った利上げを、本当に『韓国銀行』が行うかどうかが焦点になっています。
コロナ禍からの景気回復が中折れ状態にあるので、ここで再度利上げして副作用の方が大きくならないかと懸念されているからです。
『韓国銀行』はなぜ利上げをしたいのか
なぜ『韓国銀行』が利上げに一生懸命かといえば、これは2つ理由があります。
①インフレ対策
②家計負債増加への対策
韓国では現在、物価の上昇速度が早いことが懸念材料になっており、また家計負債が異常な速度で増加していることが世界的に注目されています。
この「インフレ進行」「家計負債増加」は「お金じゃぶじゃぶ状態」が原因といえます。コロナ禍による経済的行き詰まりを打開するために、韓国の金融当局はお金をじゃぶじゃぶまいて金融緩和を進めました。
その結果、お金じゃぶじゃぶなので相対的に物の価値が上がってインフレになり、じゃぶじゃぶのお金が資産価値を膨らませ、それに乗った家計が借金を増やしてまで資産にお金を投じたのです。
これを止めたければ、じゃぶじゃぶを絞ってお金の量を少なくし、相対的にお金の価値を上げてインフレに歯止めをかければいい、ということになります。
また、基準金利が上昇すれば金融機関の貸し出し金利が上昇し、お金を借りにくくなります。これによって借金までして資産にお金を突っ込む人を減らし、家計負債の増加を抑止する効果が期待できます。
さらに、預金金利も上がりますので、「銀行に預金しよう」という人が増えてお金を回収する効果もあります。実際、『韓国銀行』が08月に基準金利を上げて以降、銀行の定期預金にお金を移動する人が増えているのです。
というわけで、基準金利を上げることは①②のために必要なのです。そのため、『韓国銀行』李柱烈(イ・ジュヨル)総裁も「年2回上げても、まだ緩和的だ」と自身満々でした。
……08月には。
「うわーっ、景気回復が中折れしたぞ!」
ところが、です。Money1では何度かご紹介したとおり、2021年第3四半期(07~09月)に韓国経済の景気回復は中折れが明らかになりました。
『韓国銀行』自身が公表した2021年第3四半期の経済成長は「0.3%」にとどまってしまいました。
2021年実質国内総生産成長率
第1四半期:1.7%
第2四半期:0.8%
第3四半期:0.3%
この減速はデータを公表している『韓国銀行』自身が一番よく分かっているはずです。
そのため、08月には自身満々だったのですが、李柱烈(イ・ジュヨル)総裁は10月の第2回の利上げを見送りました。はっきりいえばビビったのです。
もし韓国経済がまだ足腰のがたがたした病人状態であれば、金融緩和的な施策を続けてお金を回す必要があります。それなのに基準金利を上げれば、病人をさらに弱らせることになります。
特に家計負債が問題です。過去最高に負債を膨らませた家計の利払いを拡大させる効果がありますから、デフォルトする家庭を増やすことになるかもしれません。
――で、『韓国銀行』が本当に第2回目の利上げをするだろうか?です。
次の「金融政策方向決定会議」は、来る11月24日です(以下は『韓国銀行』のプレルリリース)。
↑注目の第2回目の基準金利引き上げは2021年11月24日の金融通貨委員会の金融政策方向決定会議で結論が出るものと見られています。議事録の公開は12月13日の予定
韓国の金融当局はこの難しい局面をどう裁くでしょうか。読者の皆さまもぜひご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)