2022年05月10日に誕生する韓国尹錫悦(ユン・ソギョル)新大統領が、公約として掲げた「小商工人・個人業主の損失補てん:50兆ウォン」を実際に行うかどうかが注目されています。
もう何度だっていいますが、これを行うような財政余力は韓国政府にはありません。
行うには巨額の赤字国債発行しありませんが、韓国債のさらなる利回り上昇(つまりは国債の価格下落)を招き、市中金利の上昇を誘発します。
尋常ではないインフレに見舞われてはいますが、急速な金利上昇も「不良債権の急拡大」を招くかもしれず困りものなのです。
「50兆ウォンまくや、まかざるや」さあさあさあ……ですが、いくら公約といえども、実施した際の不利益も明らかなので慌てて決めるのはよくありません。
さすがに韓国メディアでも「考え直せ」的な記事が出るようになっています。古いネットスラングで恐縮ですが「もちつけ」という状況なのです。
韓国メディア『毎日経済』に興味深い記事が出ています。「もう35兆ウォンもまいたぜ」という内容で、なにをか言わんやという記事です。
以下に同記事からデータ部分を引用してみます。
2021年01~07月支援資金:4兆2,181億ウォン
2021年03~08月追加支援金:4兆8,413億ウォン
2021年08~12月希望回復資金:4兆2,422億ウォン
2021末~1次防疫支援金:3兆5,000億ウォン
2021年4Q・2022年1Q損害補償の先行支給:2兆1,000億ウォン
上記の2次先行支給:3,000億ウォン
2021年02月~2次防疫支援金:9兆8,000億ウォン
2021年03月~損失補償金:1兆5,266億ウォン
小計:30兆5,282億ウォン(約3兆528億円)
合計約3兆528億円をすでにまいています。『毎日経済』は、損失補償金がさらに膨らみますが「約35兆ウォン」(約3.5兆円)でまとまるのではないか、と読んでいます。
35兆ウォンは巨額です。政府支出がざっくり600兆ウォンだとして、国家予算の5.8%を小企業、小商工人への支援でまいたことになるのです。
もちろん、公約を守らなければならないというのは大前提でしょうが、この上さらに50兆ウォン積みますか?というのも当然の疑問でしょう。
減らそうかな~という雰囲気を察してか、小商工人の団体からはすでに「公約を守れ!」という声が上がり始めました。
新政権にとって、いきなりけっこうな難関なわけですが……果たして「50兆ウォンまく問題」はどのように決着するでしょうか?
ぜひご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)