まあ、そんなことは分かっていたことなのですが。
韓国尹政権が編成した2022年第2次補正予算「59兆4,000億ウォン」は、与野党の合意によって「62兆ウォン」規模で実行されることになりました。
韓国政府の支出はざっくり約600兆ウォンなので、なんと10%以上も膨らませたことになります。
税収が増加するので、その分をアテて赤字国債は一切発行しない――ということなのですが、本当に合うのかどうかは先になってみないと分かりません。
ですので、これはいったん置くとしても、問題はインフレを加速させるのではないか、という懸念があることです。
尋常ではないインフレに襲われている韓国
現在、韓国は尋常ではないインフレに襲われています。
先にご紹介したとおり、『韓国銀行』の読みでも、しばらく消費者社物価指数は「5%台」の上昇となるだろう、となっています。
対前年同期比で「5%台」の上昇というのは、2008年の「韓国通貨危機」時までさかのぼらないと見当たりません。
まだ5%には達していませんが、04月には対前年同月比で「4.8%の上昇」でしたので「5%」に上がるのは確実視されているのです(以下記事参照)。
つまり、韓国は14年ぶりの高物価水準なのです。
インフレが加速しないのか?
「この状況下でお金をまくのか」と懸念される理由がこのインフレです。
インフレが進んでいるということは、相対的に物の価値が上がっているということです。ですから、インフレを止めるためには、原則お金の量を減らしてお金の価値を上げないといけません。
ですから、『韓国銀行』は規準金利を上げ続けて、金融引き締めを行っているのです。
しかし、政府は史上最大規模の補正予算を組んでお金をまこうとしています。
62兆ウォンに膨らんだ補正予算の中から06月にまくだけでも「26兆ウォン + α」が放出されます。
これではインフレを加速するだけでは――という懸念が出ても当たり前です。
尋常ではないインフレに襲われている韓国でお金をまくと「インフレを加速することになる」とは金融当局は十二分に分かっているはずです。
しかし、尹錫悦(ユン・ソギョル)さんの公約でもあり、またコロナ禍に見舞われて2年もの間ひどい目に遭った小商工人・個人事業主を少しでも救おうというのですから、非難はしにくいです。
しかし、『韓国銀行』と政府が行っている金融政策は真逆です。どのような結果をもたらすのか、これは大変に興味深いです。
(吉田ハンチング@dcp)