韓国政府と『韓国電力』の激突。「電気代を上げないと無理ですってば」

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2022年に営業赤字が「-30兆ウォン」に達すると予測されている『韓国電力公社』の件です。

この赤字をどうするんだ、という話になっているのですが、韓国政府の「知らんがな」な態度に『韓国電力』側は業を煮やして、韓国政府に反感を募らせています。

赤字の泥沼に入ったのは政府のせいです

『韓国電力』が前代未聞の赤字に落ち込んているのは、そもそも韓国政府のせいです。

韓国政府が電気料金の値上げを認めなかった

ことに端を発します。驚くなかれ、『韓国電力』は2013年から9年間も値上げが制限されました。しかも、燃料価格が国際的に急騰しているにもかかわらず、2022年第1~2四半期は燃料費による値上げを凍結させました。

やっと第3四半期に電気料金を値上げする方向で動き出したのですが、先にご紹介したとおり、値上げできる幅は以下のようになっています。

四半期の引き上げ幅は「対前四半期で3ウォンまで」
年間通じて「最大±5ウォン

kWh当たりです

これに対して、『韓国電力』は2022年06月16日に「第3四半期には燃料費調整金をkWh当たり33ウォン上げなければならない」という報告書を出しています。

『韓国電力』の必要な値上げと政府のはめた枷(かせ)ではひと桁違うのです。

『韓国電力』は身を切れ!と主張

韓国政府はこの提言を無視し、自助努力が足りないと言い募っています。21日に発表予定であった第3四半期の電気料金の発表を延期。

仕方がないので、『韓国電力』は「海外投資資産及び不動産売却などを通じて約6兆ウォンの資金を調達する」と発表、併せて「経営陣の成果級の全額、1級以上の主要幹部の成果級の50%を返却する」としました。

そもそも大赤字の会社で成果給が出ていること自体がおかしいのですが、そのような努力をする――としないと、電気料金が上げられないと『韓国電力』は判断しているのです。

しかし、韓国政府側の態度はいまだに冷淡で「追加の自己救済努力が必要だ」という態度を崩していません。

2022年06月20日、秋慶鎬(チュ・ギョンホ)副首相兼企画財政部長官は「『韓国電力』は自ら、なぜ過去5年間でこのような事態に至ったのか自省しなければならない」と述べています。

過去5年間と述べている点が引っかかります。

過去5年間ということは、秋長官は「文在寅政権のためにこのような事態になったのではないか」と述べているのに等しいからです。

新政権は文在寅政権のために『韓国電力』が大赤字に陥った――としたい節があります。

政権交代が起こった際の韓国にありがちなことではありますが、『韓国電力』が危機に陥っているのは「事実」なので、その責任がいずこにあるのかを追求する前に、まず火を消す対策を講じるのが先ではないでしょうか。

さらに一つ付け加えれば、韓国の政治家が「電気料金を上げる」などという国民から非難されるような政策を取りたがらないというのも、ここまで事態が悪化した原因です。

文政権は明らかにそうでした。

新政権が「知らんがな」という態度を取っているのは、「電気料金を上げやがって」という非難を浴びたくないという気持ちがあることも理由の一つでしょう。

しかし、それではなんの解決にもなりません。

『韓国電力』からすれば「オレのせいなのか?」です

そもそも『韓国電力』からすれば「大赤字になったのはオレのせいなのか?」です。

原因は、財政を改善するための方策について手足を縛った韓国政府にあります。燃料価格が急騰しているにもかかわらず電気料金を上げなければ利益が減るのは当然のことです。

また、無茶苦茶なクリーンエネルギー政策を『韓国電力』に押し付けたのも韓国政府です。

Money1でも何度もご紹介しましたが、補助金を投入して太陽光発電所を雨後の筍のように増やし、それを送電網に結びつける作業と費用は『韓国電力』持ち(送電網や変電所の整備は進んでいません)。また、電気の買い取り価格を高値に設定して負担を『韓国電力』に押し付けるなどもしました。

『韓国電力』からすれば「大赤字になったのはすべて韓国政府のせいだ!」と叫びたいでしょう。

尹錫悦(ユン・ソギョル)政権も全くいけません。

前政権がやったことだから知らんがな」という態度を取っています。

『韓国電力』からすれば「同じ韓国政府」です。その上、「自助努力が足りない」などと言われては、これは反感を持っても当然のことでしょう。

――という世にもあほらしい次第をもって、『韓国電力』と韓国政府の確執は深まっています。

「だから電気料金を上げないと駄目だってば」という結論は変わりません。仮に『韓国電力』がデフォルトなんて事態になれば、それこそ韓国は全世界的に恥をかくことになるでしょう。

これまで「韓国は電気料金が安い」などとうそぶいてきましたが、それも限界です。合理的な料金体系を整備し、きちんと消費した分は消費者に支払ってもらう――というスタイルに変革しないと維持できません。

これは韓国の鉄道も同じです。

(吉田ハンチング@dcp)

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