韓国では、基準金利を急激に上昇させたため、これまで異常に増加してきた企業負債、家計負債への影響が懸念されています。
基準金利が上がったために利払い負担が増え、脆弱な企業・家計がその重みに耐えかねて破綻する可能性が高まるからです。
預金金利も上昇している!
基準金利の上昇は「貸し出し金利」を上昇させ、資金調達を困難にしていますが、一方で「預金金利」も急上昇させています。
驚くなかれ、13.7%などという預金商品も登場しているのです。
⇒参照・引用元:『光州銀行』「預金商品」
他にも、『ハナ銀行』が年利11%という積立預金商品を出しています。こちらはワールドカップでの韓国サッカーチームの成績によって高利が得られるというものです。
⇒参照・引用元:『ハナ銀行』「金融商品 Best11積金」
抽選やワールドカップなど、色物的な預金金利はともかくとして、一般的な預金金利はどうなっているかというと、第2金融圏に属する『貯蓄銀行』の平均金利(12カ月基準)は「3.55%」です。
第1金融圏も預金金利で張り合う!
ところが、面白いことに第1金融圏の市中銀行で「第2金融圏より金利が上の預金商品」を提供する商品が登場するようになっています。
例えば以下のような商品です。
「ウリィWONプラス預金」:年利5.18%
※市場金利連動商品
『国民銀行』
「KB STAR定期預金」:年利5.01%
※市場金利連動商品
『農協銀行』
「NHオールウォンe預金」:年利5.10%
ちなみに日本の『みずほ銀行』の期日指定の定期預金の利率は以下のとおりです。
⇒参照・引用元:『みずほ銀行』公式サイト「期日指定定期預金」
「0.002%」です。韓国と桁が3つも違います(笑)。
このように、韓国で預金金利アゲ競争が繰り広げられているのですが、これが金融機関の利益を阻害するという指摘も出ています。
これは、当たり前の話で、そもそも銀行の商売は受信して集めたお金をそれより高利で貸し出してもうけるのが基本です。高利でお金を集めても、それより高利で貸し出さないといけないのです。
ところが、貸し出す際の上限金利は決まっていますし(例えば『貯蓄銀行』の場合は20%)、またあまりに貸し出し金利が上がると借り手はお金を借りなくなるでしょう。
銀行の収益が悪化する可能性があるという警告
韓国メディアは金利を上げてお金を集めるのにも限度があるぞと指摘する記事を出しています。以下に記事から一部を引用します。
(前略)
彼(『貯蓄銀行』関係者:引用者注)は「顧客を捕まえるために収益の減少を乗り越えて『泣きながらカラシを食べる』で『貯蓄銀行』もさらに積極的に例・積金金利を上げるしかないだろう」と付け加えた。
「泣きながらカラシを食べる」は「泣き寝入り」という意味ですが、なぜ泣かないといけないかというと、第2金融圏に負けずに第1金融圏の金融機関もせっせと預金金利を上昇させているので、それと張り合わないといけないからです。
第1金融圏で預金金利が上がると、第2金融圏はさらに上げざるを得ません。これはチキンレースです。
韓国では、金利上昇に伴い資金調達が難しくなっていますが、同時に貸し出し機関による預金の奪い合いという面倒な状況にも直面しているのです。
(吉田ハンチング@dcp)