2022年11月24日、韓国の金融通貨委員会が開催され「基準金利を0.25%上げる」と正式に決定されました。下馬評どおりの結果です。
「0.5%いかねば」という声が識者・メディアからはあったのですが、アメリカ合衆国のインフレが緩和されつつあり、為替レートも「1ドル=1,400ウォン」台からは下がったので、国内の事情も鑑み、いわゆるベビーステップ(0.25% = 25bp)を踏むという判断となりました。
以下は『韓国銀行』が出したプレスリリース、「今回の判断に至った経緯」についての全文です。
面倒くさい方は強調文字などの部分だけご覧ください。
通貨政策の方向
□金融通貨委員会は、次の通貨政策方向決定時まで、韓国銀行基準金利を現在の3.00%から3.25%に上方調整して通貨政策を運用することにした。
高水準の物価上昇が続いており、物価安定のための政策対応を続ける必要があると判断した。
引き上げ幅は、景気鈍化の程度が08月の見通しに比べて大きくなると予想される中、外国為替部門のリスクが緩和され、短期金融市場が萎縮した点を総合的に考慮し、0.25%が適切だと判断した。
□世界経済は高いインフレと主要国の政策金利の引き上げ持続、ウクライナ事態長期化などの影響で景気鈍化が続いた。
国際金融市場では、米連邦の金利引き上げ速度の調整に対する期待に基づいて、ヘッジの心理が一部緩和され、米ドルが弱気を見せ、長期市場金利が下落した。
今後、世界経済と国際金融市場は、国際原材料価格およびグローバルインフレの方向、主要国の通貨政策の変化および米ドル貨の動き、地政学的リスクなどに影響を受けると見られる。
□国内経済は消費が回復の流れを続けたが、輸出が減少に転換するなど成長の鈍化が続いた。
雇用は就業者数の増加幅が鈍化したが、低い失業率水準が続くなど、良好な状況が続いた。
今後、国内経済はグローバル景気鈍化、金利上昇などの影響で成長傾向が弱まると予想される。今年の成長率は去る08月の見通し(2.6%)に合致するだろうが、来年は見通し(2.1%)を相当幅下回る1.7%と見込まれる。
□消費者物価は石油類の価格上昇の鈍化にもかかわらず、電気・ガス料金の引き上げ、加工食品の価格上昇幅の拡大などで、10月にも5.7%の高い上昇を続けた。
コアインフレ率(食料品およびエネルギー除外指数)と期待インフレ率は4%台序盤の高い水準を続けた。今後消費者物価は基底効果、景気鈍化の影響などで上昇率がやや低くなるだろうが、5%水準の高い上昇は当分持続すると予想される。
今年および来年の消費者物価上昇率は01月の見通し(5.2%および3.7%)を小幅下回る5.1%および3.6%と見込まれるが、為替レートおよび国際原油価格が動き、国内外の景気鈍化程度、電気・ガス料金の引き上げ幅などに関する不確実性が大きいと判断される。
□金融・外国為替市場では主要国通貨緊縮速度の調整期待などで長期国庫債金利とウォン/ドル為替レートが下落して株価が上昇したが、短期金融市場ではプロジェクトファイナンシング(PF)資産担保付企業手形(PF-ABCP)などの金利が大きい幅が上昇し、取引も萎縮した。
家計ローンは小幅増加にとどまり、住宅価格は首都圏と地方の両方で下落幅が拡大した。
□金融通貨委員会は今後の成長傾向を点検しながら、中期的な目線で物価上昇率が目標水準で安定できるようにする一方、金融安定に留意して通貨政策を運用していくだろう。
国内経済の成長率は低くなるだろうが、物価が目標水準を大きく上回る高い上昇を継続すると予想されるため、当分の間、金利引き上げ基調を続ける必要がある。
この過程で今後の金利引き上げの幅と速度は、高いインフレの持続程度、成長の流れ、主要国の通貨政策の変化、金融安定状況、地政学的リスクなどを綿密に点検しながら判断していくだろう
⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「通貨政策の方向(2022.11.24)」
金融通貨委員会は「輸出が減少に転換するなど成長の鈍化」について懸念を表明しており、またインフレ率は高水準が当分続くと見ていることが分かります。
ご注目いただきたいのは、『韓国銀行』による経済成長率の読みです。
今年2022年は、先の予測どおりなんとか「2.6%」を達成できるとしても、2023年は見通し(2.1%)を大きく下回る1.7%と見込んでいます。
今回の結論としては「当分の間、金利引き上げ基調を続ける必要がある」ですので、韓国の利上げ基調は継続されます。
となると、利上げによる「利子負担増」は企業・家計共にこれからも続くわけで、資金調達難も継続します。
ともあれ、本日の利上げによって以下のようになりました。
韓国:3.25%
上限では米韓の金利差は「0.75%」に縮まりました。
12月の『FOMC』(Federal Open Market Committeeの略:連邦公開市場委員会)でどこまで政策金利が上がるか、が焦点です。
(吉田ハンチング@dcp)