米国「韓国の要求どおりにはいかないよ」

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韓国は、アメリカ合衆国が定めたインフレ削減法(略称「IRA」)の修正を求めています。

「IRA」では、合衆国で完成したクリーンエネルギー自動車にしか補助金を出さないと定めており(最大7,500ドルの税額控除が受けられる)、韓国産の電気自動車の価格戦闘力がなくなるからです。

合衆国としては、合衆国の雇用に役立たない輸入自動車に血税を使うわけにはいかないという趣旨ですが、価格戦闘力が小さくなる韓国産電気自動車が売れなくなるのは自明のことです。

Money1でもご紹介したとおり、IRAが通過して以降、実際韓国の電気自動車の販売台数は減少傾向にあります。以下は『起亜自動車』の電気自動車「EV6」の2022年の販売台数の推移ですが、ご覧のとおり右肩下がりです。

⇒データ出典:『CarSalesBase.com』「HYUNDAI IONIQ 5 U.S. CAR SALES FIGURES」

韓国メディアでは、いよいよIRAの悪影響が出始めたと報じています。

合衆国は本当に韓国に便宜を図るのか?

韓国では大統領はじめ産業通商資源部、外交部が必死になってIRAを修正するように合衆国に働きかけているのですが、結果は出ていません。

2022年12月12日、合衆国ホワイトハウスのブリーフィングで、記者が「韓国と合衆国の交渉」の進展について質問をしました。この様子がプレスリリースに出ていますので、以下に引用してみます。

(前略)
Q Thank you.Thank you, Jake.Thank you.On the IRA issue, the last time at the CSIS conference, you mentioned that you will have some kind of a solution for the IRA, but you haven’t heard regarding the issue of a subsidy exclusion for the South Korean electric vehicles under the IRA.

What kind of talks are going on with South Korea now? And what solution does the United States have for mutual benefit as an economic alliance with South Korea?

Q ありがとうございます。ありがとう、ジェイク。ありがとうございました。

IRAの問題ですが、前回CSISの会議で、IRAについては何らかの解決策を用意するとおっしゃっていましたが、IRAにおける韓国の電気自動車に対する補助金除外の問題については、まだ聞いていないようです。

今、韓国とどのような話し合いが行われているのでしょうか。 また、韓国との経済同盟としての相互利益のために、米国はどのような解決策を持っているのでしょうか?

MR. SULLIVAN: So we have had extensive consultations with the Republic of Korea on the Inflation Reduction Act and, in particular, the — the relevant provisions related to electric vehicles.

Those have been constructive conversations. They’ve happened at multiple levels, including a discussion between our two presidents.And we feel confident that we can get to a place of understanding and where both of our countries’ economic interests will be taken into account.And we will see that unfold in the — in the coming days and weeks.

This is a big, complex piece of legislation.Not everything gets resolved in a day, a week, or a month.But we believe that we will ultimately have a long-term approach that vindicates the economic interests and needs of American workers and businesses and of our ally in the Republic of Korea.

I’ll leave it at that. Thanks, guys.

Mr. サリバン:インフレ抑制法と、特に電気自動車に関連する規定に関して、韓国とは広範な協議を行ってきました。

これは建設的な話し合いでした。

両国の大統領の間で行われた議論も含め、複数のレベルで行われました。

そして、我々は、両国の経済的利益が考慮される理解の場に到達できると確信しています。 そして我々は、今後数日、数週間のうちに、それが進展するのを見ることになるでしょう。

これは大規模で複雑な法案です。 1日、1週間、1カ月で全てが解決するわけではありません。

しかし、最終的には、合衆国の労働者と企業、そして同盟国である韓国の経済的利益とニーズを正当化する長期的なアプローチが得られると信じています。

では、この辺で。ありがとうございました。
(後略)

⇒参照・引用元:『White House』公式サイト「Press Briefing by Press Secretary Karine Jean-Pierre and National Security Advisor Jake Sullivan」

上掲のとおり、サリバン報道官は「合衆国と韓国で広範な議論をしてきた」と明らかにし、また「今後数日、あるいは数週間で進展があるだろう」と述べています。

しかしながら、この「数日あるいは数週間でうんぬん」というのは決まり文句で、本当にそうなのかは怪しいところです。その証拠に「1日、1週間、1カ月で全てが解決するわけではない」とも釘を刺しています。

「時間がかかるよ」といっているわけで、「韓国産電気自動車を差別するな」という抗議を棚ざらしにする可能性だってゼロではありません。

そもそも修正を加えるには議会を通過しなくてはならず、08月にやっとこさ通した法をスグに修正するというのは考えにくいのです。その上、IRAの場合、法の運用に関して「政府執行機関が裁量で変更を加えられる余地は小さい」と最初からいわれてきました。

――というわけですので、韓国政府の要望が叶えられる可能性は高くありません。

やはり、「突貫で合衆国に完成自動車工場を作るぞぅ」とした『現代自動車』の対応が最も現実的なのではないでしょうか。

(吉田ハンチング@dcp)

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