2022年10月に、韓国陸軍の基地から発射した韓国製中距離弾道ミサイル「玄武2C」1発が、基地内のゴルフ場、フェアウェイにナイスオンするという事故がありました。
幸いにして事故による死傷者が一切なかったのでこのように茶化せるわけですが、もし住宅地域にでも落下し、また弾頭が不発でなかったら大惨事になったはずです。
この後ろ向きに飛行するという異常な事態がなぜ起こったのかについて、韓国国防部から第一弾の調査結果が出た模様です。国防部の公式サイトにはプレスリリースが出ていませんので、不本意ですが『ハンギョレ(日本語版)』の記事から一部を以下に引用します。
(前略)軍は10月に北朝鮮の中距離弾道ミサイル(IRBM)発射に対応して発射した玄武-2Cが後方に飛んで墜落し、90人余りを投入して約2カ月かけて調査を進めた。
調査チームは、ミサイルの発射過程で起こりうる故障類型を分類し、3万回以上のシミュレーションを経て欠陥が発生した原因を追跡した。
軍はこれを通じて、ジャイロスコープのエラーが事故の原因だという暫定結論を下した。
ただし、調査に関与した軍関係者は「ジャイロスコープの中にも非常に多くの部品があり、どこが故障したのかは分からない。長年ミサイルを開発してきたが、このように(ミサイルが)後ろに飛ぶケースはなかった」とし、ジャイロスコープの欠陥は「異例のこと」だと述べた。
(後略)⇒参照・引用元:『ハンギョレ(日本語版)』「韓国の江陵で後ろに飛んだ玄武ミサイル、原因は『ミサイル姿勢測定装置のエラー』」
90人以上を投入し、3万回以上のシミュレーションを行って「ジャイロスコープの異常が起こった」との結論に至ったとのこと。ただし、ジャイロスコープといっても多数の部品から構成されているので、これ以上の詳細は不明――としています。
「いや、調べろよ」なのですが、訓練不足じゃないのか?という指摘に対しては、「正確な回数を言うのは難しいが、玄武-2Cを今年初めて撃ったわけではなく、(以前は)すべて成功した」と答えています。
「いや、回数を言ってみてください」ですが、軍は「同様の事故が発生した場合に備えて飛行安全装置を開発し、玄武-2Cに装着する計画」とのこと。
この安全装置は、異常飛行が発生した場合に「弾頭部が推進体から分離され、遠距離飛行が行われないようにするもの」と述べています。
いざというときに役に立たないミサイルでは困るので、原因をしっかり調査して特定、改良するようにしていただきたいものです。
(吉田ハンチング@dcp)