アメリカ合衆国と中国の対立が深化し、世界的にも中国リスクが明らかになっています。
中国本土に進出した企業も中国から逃げ出さないとロクでもないことになるぞ――なのですが、逃げられると中国は困ります。
中国共産党の英語版御用新聞『Global Times』が「中国から逃げないでくれ」という記事を出しています。
もちろんタイトルは「中国から『デカップリング』する外国企業は絶好のチャンスを失う」と上から目線で偉そうなのですが。
以下に記事の一部を引用します。
中国の景気回復が、減速する世界経済の中で大きな光明となることは間違いないが、一部の外国企業の投資決定が潮流に逆らっているように見えるのは不思議なことである。
『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』紙によると、在中国米国商工会議所は水曜日、ビジネス環境調査の25年の歴史で初めて、ほとんどの会員企業が中国をトップ3の市場とは考えなくなったと発表したとのことである。
また、『シティグループ』の欧州・中東・アフリカ担当最高経営責任者であるデビッド・リビングストーンは、『ブルームバーグ・テレビ』のインタビューで、金融機関の顧客がサプライチェーンを中国からシフトしており、この傾向は何年も続くだろうと述べている。
欧米のシナリオでは、米中間の緊張による地政学的リスクから外資が中国を敬遠する傾向にあると主張するが、中国の経済回復がもたらすこのような黄金の投資機会は、今日の弱気な世界経済環境では希少であるという事実には逆らえない。
もし、外国企業が中国での投資機会を逃すとしたら、それは彼ら自身の問題であって、中国の問題ではない。
(後略)⇒参照・引用元:『Global Times』「GT Voice: Foreign companies ‘decoupling’ from China will lose golden chances」
いささか、つボイノリオ先生的な表現になりますが「(中国から逃げると)あんた損しますよ!」という主張です。中国の景気回復は、投資家にとってまれに見るチャンスなのに、なぜ中国に背を向けるのか――と不思議がっています。
「なぜなのか」は自分の胸に聞くべきしょう。
この記事は最後の部分が見どころです。以下に引用します。
(前略)
そのような状況下、中国の質の高い成長は、外国企業にとってより良い投資機会を生み出すことは間違いない。もちろん、中国の成長から最も効率的に利益を得るためには、外国企業は中国の発展傾向に沿った投資計画を立てる必要があります。
外国企業の中には困難な状況に遭遇する可能性もあるが、投資プロセスにおいて中国のステークホルダーと協調し、解決策を見出すことを学ぶ必要がある。
長期的・世界的な視野に立てば、中国ほど大規模な製造能力と物流網を持つ巨大な潜在市場はほとんどなく、中国は今後も開放され続けることは言うまでもない。
もし、一部の外資系企業が、市場の不具合を指摘したり、チャンスをつかめなかったり、合衆国の「デカップリング」戦略に乗ったりするようなら、それは彼らの問題であり損失です。
⇒参照・引用元:『Global Times』「GT Voice: Foreign companies ‘decoupling’ from China will lose golden chances」
投資しないと損しするぞ、といいながら「中国の発展傾向に沿った投資計画を立てろ」「中国のステークホルダーと協調し、解決策を見出すことを学べ」と言っています。
つまり「中国がほしいものに投資しろ」「言うことを聞け」です。
こういう国なのです。自由な資金移動も許さないし、中国共産党の指導に従わないとどんな目に遭わされるか分かりません。
御用新聞がこのような脅しをする国に誰が投資するというのでしょうか。
どこまでも傲岸不遜で厚顔無恥な国です。言っていることは「服従せよ」ですから『ゼイリブ』みたいです。
(吉田ハンチング@dcp)