新冷戦の一方の焦点「香港」の情勢がヒートアップしています。上掲はその情勢を反映して低迷する香港のハンセン指数の日足チャートです(チャートは『Investing.com』より引用)。
10月04日には警官隊が実包を使用し、14歳の少年が被弾。命はとりとめましたが重症で、05日にはそのまま逮捕手続きが取られました。
同05日、香港政府は「緊急状況規則条例」、いわゆる「緊急法」に基づいて「禁蒙面法」(日本語訳では「覆面禁止法」)を施行しました。04日に官報で公開し、翌05日0:00に施行というスピードでした。
禁蒙面法は、デモ隊にマスク着用など顔を隠す行為を禁止するものです。違反者は最高2万5,000香港ドルの罰金および1年間の収監が課せられます。また、警察官が身元確認の必要を感じ、マスクをした人物にマスクを取るように要求したのに、それに従わなかった場合には、最高1万香港ドルの罰金および6カ月の収監が課せられます。
「緊急状況規則条例」は戒厳令のようなもの
今回の「禁蒙面法」は施行までにほぼ1日という電撃的に施行されましたが、もちろん議会の承認などは経ていません。このような、ある意味無茶ができるのは「緊急状況規則条例」によります。
これはイギリス統治下の1922年02月28日に施行された条例で、緊急事態また公共の安定が危機にさらされる場合には、統治組織・委員会などを超越して最高責任者に規制を課す権限を与えるものです。
香港を統治する最高責任者が判断すれば、どんな規則でも施行できるわけですから、つまり戒厳令のようなものです。
一般には、戒厳令とは治安維持のために市民の権利をいったん制限し、すべてを軍の統制下に置くことですから、もちろん正確には違いますけれども。最高責任者の一存で何でもできるようになるという点では同じです。
今回の禁蒙面法の制定・施行に当たって林鄭月娥長官は、緊急状況規則条例を基にしているが香港が緊急事態に入ったことを意味しない、としています。
じゃあ、なぜ緊急法に基づくわけ?と思いますよね。
⇒参照:『Money1』「『香港人権・民主主義法』とは?」
https://money1.jp/archives/9229
⇒参照:『Money1』「いや、だから合衆国の言う『一つの中国』って……。英語の原文を見よう!」
https://money1.jp/archives/9922
(柏ケミカル@dcp)