アメリカ合衆国が香港のデモにかこつけて中国への圧力を強めています。トランプ大統領はこれを貿易協議を有利に進めるためのカードと考えているようで、すでに「香港のデモを武力鎮圧したら貿易協議は合意しない」と述べています。
中国はこれに反発し、香港については中国の内政問題であって他国の容喙(ようかい)するようなことではないとしています。また「一つの中国」という枠組みを崩すつもりはないとも。
「中国の考える『一つの中国』」とは違うよ
中国は、この「一つの中国」を当然台湾にも適用しているのですが、合衆国は新冷戦の焦点となっている台湾への武器供与を強化。これについて中国が反発したことがニュースになっています。面白いのは、そのニュースの中に次のような部分があることです。
「アメリカ国務省の高官は「『一つの中国』を尊重する政策に変わりはない」としていますが、」
※強調文字は筆者による
⇒引用元:『TBS NEWS』「米政府、台湾にF16売却 正式決定」
https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3756578.html
この発言をした国務省の高官が誰かは分かりませんし、正確に英語で何と言ったのか不明ですが、ここで引かれている「一つの中国」、英語では”One China Policy”は、あくまでも「合衆国の考える『一つの中国』」である可能性が高いのです。
かつてMoney1でもご紹介したとおり、「Taiwan Assurance Act of 2019」(台湾保証法案2019)にすでにそのような記載が登場しています。重要な部分なので再度触れますが、以下がその表現です。
……in accordance with the United States“One China”policy
合衆国の「一つの中国」ポリシーに従って……
⇒参照:『Money1』「合衆国は『台湾』を防衛する! 2本の「親台湾法」下院通過」
https://money1.jp/?p=7686
このように、「中国の『一つの中国』ポリシーに従って……」とは書かれていません。あくまでも「合衆国の『一つの中国』ポリシーに従って……」です。
合衆国は合衆国の考える「一つの中国」に従って行動しており、合衆国の考える「一つの中国」は、中国の考える「一つの中国」とは異なっていてもいいのです。合衆国の考える「一つの中国」は、香港と台湾を除く中国なのかもしれません。
香港が中国政府に武力で押しつぶされた場合、合衆国にとって台湾の重要性はさらに大きくなります。経済的にもですが、この場合、政治的な意味合いがいや増すでしょう。合衆国が台湾を独立国として承認することすらあり得る。そこまで考える必要があるのです。
⇒参照:『Money1』「米国防総省、台湾を『国』と記載してしまう」
https://money1.jp/?p=8933
⇒参照:『Money1』「合衆国には合衆国の『一つの中国』ポリシーがある」
https://money1.jp/?p=9094
(柏ケミカル@dcp)