ドルが枯渇しないのか注目される韓国ですが、2019年09月末時点での外貨準備(foreign reserves)が韓国銀行から公表されました。その内訳は以下のようになっています。
Official foreign reserves 4,033億ドル(約43兆1,289億円)
(公式な外貨準備高)
前月比:18億ドル増加
<<内訳>>
⇒Securities 3,745億ドル(約40兆490億円)
(証券類)
前月比:35億ドル増加
⇒Deposit 180億ドル(約1兆9,249億円)
(預金)
前月比:16億ドル減少
⇒SDRs 34億ドル(約3,636億円)
(IMFのSDR(特別引出権)
前月比:変わらず
⇒IMF position 26億ドル(約2,780億円)
(IMFリザーブポジション)
前月比:1億ドル減少
⇒Gold 48億ドル(約5,133億円)
(金)
前月比:変わらず
※円換算は2019年10月05日「1ドル=106.94円」のレートで算出
⇒データ引用元:『韓国銀行』「Korea’s Official Foreign Reserves(As of the end of September 2019)」
https://www.bok.or.kr/viewer/skin/doc.html?fn=201910020325264470.hwp&rs=/webview/result/E0000634/201910
外貨準備・証券類の2/3は危機時に使えないのでは?
上掲のとおり、証券類(securities)が35億ドル増えて、預金(deposit)が16億ドル減っています。先にご紹介したとおり韓国では1-6月までに38億ドルのドルの売り越しが行われたことが明らかになりました(以下の記事内でご紹介しました)。
まあ通貨防衛(通貨安の阻止・為替介入)を行っていれば現金が減るのは理解できます。しかし、証券類がなぜ35億ドルも増えたのかが気になりますね。
一般に外貨準備として保有する証券類は換金性の高いもののはずです。危機に備えるならスグにドルに換えられるものでなければなりません。
例えば日本の外貨準備は2019年08月末時点で、総額1兆3,315億8,300万ドルです(前月比で約151億ドルも増加!)。このうち証券類は1兆1,321億4,800万ドル分あります。
⇒データ引用元:『日本国財務省』「外貨準備等の状況(令和元年8月末現在)」
https://www.mof.go.jp/international_policy/reference/official_reserve_assets/0108.html
アメリカ合衆国財務省は、毎月「合衆国公債の国別保有残高のデータ」を公表していますが、この最新版を見ると07月末時点で日本は「1兆1,308億ドル」分を保有しているとしています。つまり、日本が持つ外貨準備の証券類はほとんど全てが合衆国公債なのです。
このように日本のデータと合衆国のデータで帳尻が合うのは、日本の財務省が正直に外貨準備の内訳を公表している証拠でもあります。
⇒データ引用元:『アメリカ合衆国財務省』「MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES」
https://ticdata.treasury.gov/Publish/mfh.txt
しかし、韓国の持つ証券類は先の記事でも触れたとおり約68.5%(07月末時点)は、合衆国公債ではない「謎の証券類」です。公表されていないので正体が分かりません。もしかしたら約2/3(約2,500億ドル分)はスグには換金できないものなのではないでしょうか?
おっかしなモノが増えたのでなければいいのですが。
※09月末時点で08月と比べて35億ドルも証券類が増えたとしているのですが、合衆国財務省がまだ「合衆国公債の国別保有残高のデータ」を公表していないので、それが合衆国の公債かどうかも照らし合わすことができません。
追記
・「1/3」ではなく「2/3」が正体不明です。修正いたしました。
・Depositの円換算した数字に誤りがありました。修正いたしました。
(柏ケミカル@dcp)