2022年08月18日、韓国の企画財政部から「月刊財政動向08月号」が公表されました。
コロナ禍で経済的な惨状となった個人事業主、小商工人に対する給付を厚くして、韓国史上最大規模の補正予算を組んだのですが、これが効いた模様です。
財政赤字が急拡大しました。以下をご覧ください。
2022年06月
総収入:40.7兆ウォン
総支出:66.9兆ウォン
統合財政収支:-26.1兆ウォン
管理財政収支:-30.7兆ウォン2022年01~06月累計
総収入:334.4兆ウォン
総支出:409.4兆ウォン
統合財政収支:-75.0兆ウォン
管理財政収支:-101.9兆ウォン※統合財政収支は単純に総収入から総支出を引いたもの。管理財政収支は国民年金基金などの収支も足しこんだもの。国の財政の健全性を判断する場合には、管理財政収支の方を見なければなりません。
⇒参照・引用元:『韓国 企画財政部』公式サイト「財政動向08月号」
非常に興味深い結果となっています。対前年同月比に見ると、総収入は3.5兆ウォン増えています。これは税収が増加しているからで、01~06月累計で見ても2021年と比較すると、なんと「35.8兆ウォン」も増えています。
その点はいいのですが、支出が問題です。累計で支出は2021年比で「63.6兆ウォン」も増加しているのです。
これは約62兆ウォンもの補正予算を組んで、06月に慌ててお金をまいたためと推測されます(上掲過去記事でご紹介したとおり政府は約62兆ウォンのうち約26兆ウォンを06月中にまくつもりでした)。
ご注目いただきたいのは、青い枠で囲った「2022年予算の数字」(管理財政収支)です。韓国政府は2022年には通年で「-110.8兆ウォン」の赤字が出る予算を組んでいます。
ところが、01~06月の累計で既に「-101.9兆ウォン」の赤字となっています。約102兆ウォンの赤字です。
グラフにすると以下のようになります。
オレンジの破線が管理財政収支の推移ですが、すでにコロナ禍に襲われた2020年の赤字の底近辺まで到達していることが分かります。
補正予算でお金をまいたのがその理由で、これからはお金をまく話は出ていませんが(ただし62兆 – 26兆のお金はまく)、例の「満期延長、元利返済猶予措置」が終わるのに対して、お金を支援するプランが動いているのです。
1年の半分を終わった時点で、ほぼ予算での赤字に達しています。
韓国政府の財政は非常に悪いといわざるを得ません。財政出動の余力などまったくない状況といっていいでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)