昨日、韓国の文正仁補佐官による「(アメリカ合衆国軍が朝鮮半島から撤退したら)中国の傘の下に入るのはどうか」という愚か極まる発言を紹介しましたが、どうも現在の韓国政府は、安全保障問題について合衆国を甘く見ているふしがあります。
合衆国は自国の安全保障に関わる問題では決して譲ることはありません。
日本も合衆国相手にかつて読み違えたことがある
例えば、日本が対米戦争に踏み切る原因となった「ハル・ノート」。ハル・ノートに帰結するまで合衆国と日本の間で約1年間の交渉があったわけですが、合衆国が日本に対して極めて強硬な姿勢になった理由の一つは、合衆国が安全保障上の重要ポイントと考える「南部仏印」に、日本が全くそれと気付かず進駐したことです。
日本軍、そして日本政府も「大丈夫だろう」と合衆国について一顧だにした形跡はありません。しかし、合衆国は日本の南仏進駐を知るや否や翌朝すぐに「これは合衆国の安全保障上の大きな問題と認識する」旨の発表を行います。また、すぐに日本資産凍結などの経済封鎖措置をも発表したのでした。
慌てた日本政府は、合衆国に接触しますが、当時のウェルズ国務次官は野村駐米大使を「合衆国と日本の交渉の基礎はなくなった」と冷たく突き放します。日本政府は「なぜそんな強硬な態度を取るのだ」と仰天するしかありませんでした。
安全保障問題で「相手の意図を読み違える」ことは決定的
このようなことは今でも起こります。つまり、相手の意図の読み違えです。特に安全保障問題については、認識の相違は致命的なものになります。なぜなら、安全保障の問題は軍事行動に直結しているからです。しかも相手は世界最強を自認する合衆国です。
現在の韓国政府は、合衆国が朝鮮半島から撤兵すれば北朝鮮との統一もスムーズにいく、ぐらいに考えているのではないでしょうか。そのような脳天気な考えでいるので「GSOMIA」(General Security of Military Information Agreementの略:軍事情報に関する包括的保全協定)についても世界的に恥をさらしたわけですが。
⇒参考文献:『ハル・ノートを書いた男 日米開戦外交と「雪」作戦』(須藤眞志,文藝春秋,2015年06月25日第6刷発行)
(柏ケミカル@dcp)