韓国メディア『週刊朝鮮』が面白い記事を出しています。
石破茂首相が「新大東亜共栄圏をつくろうとしている」と主張しています。その中で「韓国がのけ者にされる新アチソン・ラインが今、引かれようとしている」というのです。
傑作なことに「日本によって」(石破ガーとなっています)です。
アチソン・ラインというのは懐かしい言葉で、当時アメリカ合衆国・国務長官であったアチソンさんが、1950年01月に宣言した合衆国の防衛ラインのことです。
アリューシャン、日本、沖縄、フィリピンを結ぶ線とし、朝鮮半島は入りませんでした。これが、金日成が朝鮮戦争を起こすきっかけの一つになりました。ソ連と中国に「合衆国は朝鮮半島に軍事介入するつもりはない」と、説得したのです。
全然そうではありませんでしたし、その結果、北朝鮮軍は負けることになったのです。
それはともかく、以下に記事の一部を引用します。
2025年の日本は、バイデン政権下のインド太平洋戦略に匹敵する大東亜共栄安全保障戦線の構築を進めている。
日本が先頭に立ち、オーストラリア、ニュージーランド、フィリピン、インドネシア、インドが共栄圏に加わっている。
アジア以外の国々では、イギリス、フランス、ドイツ、オランダも日本を通じて大東亜共栄安全保障戦線に参加している。
反中戦線の中核は、日米同盟を基盤とするインド太平洋戦線である。
(中略)
韓国は、日本主導の反中戦線の外に立っている。
中国による西海(黄海)侵食が加速しているにもかかわらず、日本主導の地域協力体への参加には否定的だ。
ネズミを捕るにしても黒猫か白猫か、血筋を問う国が韓国である。
日本も、韓国を含めた反中戦線の構築には関心が薄い。
韓国を除いた日本、台湾、フィリピン、インドネシア、ベトナム、オーストラリア、インドへと続く、75年前の「アチソン・ライン」が、2025年の大東亜共栄安全保障戦線として固まりつつある。
中国による西海侵食問題も、もはや韓中間の問題であり、日本や他国とは無関係な事案として片付けられようとしている。
日本は軍事外交だけでなく、経済的次元の大東亜共栄活動も加速している。
2018年12月に発足した「環太平洋パートナーシップ(CPTPP)」が主な舞台である。
これは日本が主導する地域内経済体制で、関税緩和、サービス投資、知的財産に関する自由貿易を基盤とする組織である。現在、日本を中心にイギリス、オーストラリア、シンガポールなど11カ国が加盟している。
石破首相はトランプの関税爆弾に対抗し、CPTPPを通じて地域内の経済活性化に力を注いでいる。
関税爆弾を受けても、CPTPP加盟国間の輸出入や取引を通じて生き残る道を模索するという戦略だ。
中国は2020年11月、日本のCPTPPを模倣して「地域的包括的経済連携(RCEP)」を発足させた。
RCEPはASEAN10カ国を中心とした、中国の周辺国による経済協力体という性格が強い。日本のCPTPPはアジアのみならず、西側世界と接続された経済協力体という点で区別される。
しかし、アメリカ合衆国は日本のCPTPPはもちろん、中国のRCEPにも無関心だ。
トランプ式外交に見られるように、集団ではなく1対1の会談が合衆国の交渉構図である。
トランプ政権第2期の発足以後、日米韓3国による三角議論は消え、韓国と合衆国、合衆国と日本の1対1の交渉だけが存在する。
驚くべきことに、韓国は中国のRCEPには参加しているが、日本のCPTPPには未加入のままである。
韓国は日中韓3国による自由貿易協定(FTA)に望みをかけてCPTPP加入に消極的だ。
しかし、中国が著作権問題に反対しており、韓中日3国のFTA発足も順調ではない。
(後略)⇒参照・引用元:『週刊朝鮮』「『新大東亜共栄圏』を夢見る日本」
まず、この記事が何を言いたい記事なのかよく分かりません。日本は新しい大東亜共栄圏を築こうとしている、とは主張しているのですが、「韓国がどうしたいのか」不明です。
「韓国はCPTPPに加盟していない」と批判しているようにも見えますが、加盟について推進していないのは韓国政府自身です。また、日中韓FTAなど達成されるはずありません。
この記事は、
トランプのせいか習近平のせいかは定かではないが、「パックス・アメリカーナ」が終わりを迎えつつあるのは確かだ。
韓国を周辺に追いやる21世紀の新「アチソン・ライン」も、すでに朝鮮半島周辺に迫ってきている。
と書いているのですが、新しいアチソン・ラインが引かれるにしても、朝鮮半島がよそ者(防衛ラインに入らない)に蹴り出されたとしても、それは「韓国が信用できないから」「自由民主主義国家とはみなせないから」に他なりません。
(吉田ハンチング@dcp)