【EVから出火か】クルマ約3千台積んだ貨物船が火事。船は放棄され乗組員22人が全員脱出

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自動車を運搬している途中の貨物船で火事が発生しました。

2025年5月26日、中国の山東省・煙台港を出港した貨物船「Morning Midas(モーニング・ミダス)」号は、メキシコのLázaro Cárdenas(ラサロ・カルデナス)港を目指して航行していました。

外信『CARSCOOPS』によれば、この船には約3,048台の車両を積載しており、そのうち70台は電気自動車、681台はハイブリッド車でした。

目的地まで19日間の予定で、航海8日目、06月03日午前0時(UTC、東部標準時19時)過ぎ、デッキの一つから煙が噴出しているのが確認されました。


↑火災発生地点と推測される洋上:PHOTO(C)GoogleMap

場所は、アラスカ州アダック島の南西約340マイル(約480キロ)の北太平洋上です。

火災はEVが積載されているデッキから発生し、船内の消火システムでは制御できず、鎮火できないと判断した乗組員22名は救命ボートで避難。

近くを航行していた商船「Cosco Hellas(コスコ・ヘラス)」号に救助されました。

「モーニング・ミダス」号は海上に放棄された状態となっており、煙が上がり続け火災は鎮火しておりません。

ロンドンに拠点を置く管理会社『Zodiac Maritime(ゾディアック・マリタイム)』は、救助活動と海洋環境の保護を最優先事項として、緊急対応チームと連携し、消火および曳航作業のためのタグボートを派遣しています。

以下は沿岸警備隊(アラスカ)の公示情報です(一応全文和訳します:2025年06月06日付け)。

⇒参照・引用元訂正:最新情報:アラスカ・アダック沖の船舶火災に沿岸警備隊が対応
訂正:このバージョンでは、「モーニング・ミダス」がアダックの南西約340マイルに位置していたと訂正している。前のバージョンでは誤ってアダックの南東340マイルと記載していた。

コディアック(アラスカ州)発 — 沿岸警備隊は、木曜日(2025年06月05日:引用者注)、アダックの南西約340マイル(約547キロメートル:引用者注)に位置する船舶火災への対応を継続している。

コディアック航空基地所属の沿岸警備隊HC-130Jスーパーハーキュリーズ搭乗員が水曜日に貨物船「モーニング・ミダス」の上空を飛行し、同船が依然として炎上していることを確認した。

現在のところ、船が浸水している、あるいは傾いているという視認上の兆候はなく、損傷の程度は不明である。

「モーニング・ミダス」の管理会社であるゾディアック・マリタイムは、さらなる調査のためにサルベージ(引き揚げ)専門家のチームを現地に派遣する手配を進めている。

「モーニング・ミダス」の乗組員は水曜日に船を避難しており、現在は「コスコ・ヘラス」号に乗船中で、目的地へ向けて航行中である。負傷者の報告はない。

木曜日午後4時時点で、当該船舶はアダックの南西約340マイルに位置していた。

第17沿岸警備区司令部は、当該海域の船舶に対して状況を通知する「航海者への放送通知(BNM)」を発出した。

沿岸警備隊は『ゾディアック・マリタイム』と協力し、船の回収作業の調整を継続している。

『アメリカ合衆国 沿岸警備隊』公式サイト「Correction: Update: Coast Guard responds to vessel fire offshore Adak, Alaska」

『ゾディアック・マリタイム』によれば、EVデッキから出火した――としていますが、まだ確報ではありません。また、どのメーカーの自動車から出火したのかについては情報が錯綜しています。

『奇瑞汽車』(Chery)や『長城汽車』(Great Wall Motor)を含む複数の自動車メーカーの約3,000台の車両が積み込まれていた――とのこと。

報道で名前が挙がっているメーカー(ブランド)は以下です。

『奇瑞汽車』(Chery Automobile Co.)
『長城汽車』(Great Wall Motor Co.):約140台が積載されていたとされますが、これらはEVではなく、火災が発生したデッキには配置されていなかったと報じられています。

『上汽通用汽車』(SAIC-GM):山東省煙台市にある同社の工場では「Buick Envision」モデルが生産されており、これらの車両が積載されていた可能性があります。

船のチャーター会社:『上汽集団』(SAIC Motor)の子会社である『安吉物流』(Anji Logistics)がチャーターしたと報道アリ。

「船火事は最悪」といわれます。

同様に、EVが船火事を引き起こした例としては、2022年の「Felicity Ace(フェリシティ・エース)」号の沈没事故があります。


↑鎮火できず沈没に至った「Felicity Ace」号。

「Felicity Ace(フェリシティ・エース)」号は、運行管理『日本郵船』で、ドイツの「エムデン港」から→アメリカ合衆国ロードアイランド州の「デイビスビル港」に向かっていました。

2022年02月16日、ポルトガル領アゾレス諸島の南西、約90海里(約170km)の大西洋上で出火。鎮火できず、搭載していた約4,000台の車両が丸焼けとなり、船は沈没。

原因はEVのバッテリー火災と見られています。保険会社の推算によれば被害総額は約4億ドルです。

「Felicity Ace(フェリシティ・エース)」号・沈没の経緯
02月16日:
火災発生。全乗組員22人はポルトガル海軍により無事救助

火災拡大:
電気自動車のバッテリーが高温で燃え続けた可能性があり、通常の消火では鎮火が困難。

02月28日:
曳航中に傾斜と浸水が悪化。

03月01日:
船体が沈没。沈没地点はポルトガル・アゾレス諸島南西約220海里(約407km)の大西洋上

「フェリシティ・エース」号の場合は、約2週間で沈没となりました。

今回の「Morning Midas(モーニング・ミダス)」号がどうなるか?――です。

(吉田ハンチング@dcp)

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