もう何度だっていいますが、韓国はどん底景気です。特に不動産関連の「建設業の不振」が続いています。
これは韓国経済の構造と密接に関連しています。
そもそもまともな内需は不動産しかないので、これが低迷すると関連する建設業が低迷します。建設業は人手を要するものですから、不況になると雇用に大きな影響が出て、これが消費低迷にも結びつくわけです。
先にご紹介したとおり建設業に従事する労働者の人口は減少を続けています※。これは韓国経済の低迷を如実に表すものなのです。
※統計庁のデータによれば、2025年04月時点で「建設部門」は対前月比で15万人の雇用減少。これは12カ月連続の減少です。
2025年06月10日、『韓国銀行』が「2025年第1四半期預金取扱機関産業別貸出金」を公表しました。簡単にいえば「韓国の銀行がどの業種にいくらお金を貸しているのか」のデータです。
面白いのは、以下の「サービス業内 産業別貸出金および増加額」の表組です。
↑黄色でフォーカスしているのが「宿泊・飲食店業」です。2025年第1四半期時点で銀行の貸し出し金額は「90.4兆ウォン」。⇒参照・引用元:『韓国銀行』「2025年第1四半期預金取扱機関産業別貸出金」
なぜサービス業「宿泊・飲食業」に注目するかといえば、中国ほどではないにしろ、韓国でもまた飲食業で出店してはスグに潰れる(廃業する)という傾向が強まっているからです。
実際、韓国一の繁華街といわれる梨泰院でも閉店した店舗が目立つようになっています。
例えば朝鮮日報グループの不動産専門メディア『땅집고』は以下のように報じています。
(前略)
梨泰院商圏の状況が尋常ではありません。2022年のハロウィン惨事直後(人が集まり過ぎて圧死者が出るなどした惨事)と比較すると、通行人の数はかなり増えたように見えましたが、商圏が回復したと思いきや、現実は違いました。
店を出しても次々に閉店を控えた店舗が現れ、1軒おきに売り物件が出ているほどです。
梨泰院駅前にあった靴のセレクトショップの店舗も、今では空っぽです。
大通り沿いの中・大型店舗には、まるごと賃貸募集中の貼り紙がされている場所もありました。
こうした商圏壊滅の兆しは数値にも表れています。
韓国不動産院による中大型商業店舗の空室率によると、今年第1四半期梨泰院の空室率は14.44%で、ソウルの主要商圏より高い数値です。
ソウルの代表的商圏のうち、空室問題が取りざたされていた江南大路(12.55%)、シンサ駅(14.27%)、新村・梨大(14.27%)、弘大・合井(10.59%)などの商圏よりも高い割合です。
(中略)
梨泰院商圏で洋食堂を営む店主A氏は「多いのは週末の夜に遊びに来る若者だけで厳しい状況だ。平均売上はピーク時の30%水準です」と語りました。
(後略)
中国の例を出すまでもなく、飲食店がばたばた倒れているというのは良いことではありません。外食を控えるというのは消費を抑えていることだからです。
――で、上掲の『韓国銀行』のデータに戻ります。
宿泊・飲食店業への貸し出し残高が90兆ウォンを超えたのは、実は今回が初のこと。前四半期より1兆4,079億ウォン増加しました。
宿泊・飲食店業への貸し出しが急増するのは、高金利・高物価などによって消費心理が大きく萎縮したため――と考えられます。借金しないと回らなくなっており、それでも維持できないから廃業するのです。
貸し出しの増加と不良債権化は連動しています。しかも不良債権化は加速しているのです。以下は大銀行だけですが、貸し出しのうち不良債権化した数字の推移を見ると以下のようになります。
↑※「不良債権貸出」とは、3カ月以上延滞し、回収可能性が低いと見なされる貸出。
「宿泊・飲食業」向けの貸し出しのうち不良債権は2024年に急増。2023年の「822億ウォン」から2024年の「1,892億ウォン」に、なんと2.3倍になったのです(13.2%増加)。
2025年はいまだ途中ですが金額はさらに増えています。
これもまた韓国経済がどん底景気にあることの証左です。
(吉田ハンチング@dcp)