2020年02月03日、韓国メディア『聯合ニュース』から、「マレーシアが韓国との通貨スワップ協定の延長に合意した」という報道がありました。
⇒参照・引用元:『聯合ニュース(日本語版)』「韓国とマレーシア 通貨スワップを3年延長へ」
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20200203004100882?section=economy/index
通貨スワップ協定は、韓国にとっては流動性を確保するための大事なものですが、記事内にある「融通枠が定められていないカナダを除いた6カ国と結んだ協定の融通枠の合計は約1328億ドル(約14兆円)」という表現は明らかに過大です。
筆者(バカ)の計算が正しければ、2020年02月03日現在、韓国が経済危機に備えるための通貨スワップ協定の融通枠は(国とCMIを入れて)以下のようになります。
・対スイス:100億スイスフラン(約103.75億ドル)
・対マレーシア:150億マレーシアリンギット(約36.46億ドル)
・対オーストラリア:100億オーストラリアドル(約67.04億ドル)
・対インドネシア:115兆ルピア(約83.73億ドル)
・対中国:3,600億元(約512.79億ドル)
・対UAE:200億AED(約54.45億ドル)※1
・対カナダ(危機時に流動性を確保する協定):金額設定なし ※2
・CMI(チェンマイ・イニシアティブ):約384億ドル
計:約1,242.22億ドル ※3
となりますが、CMIの約384億ドルの「30%」に当たる「約115.2億ドル」だけはIMFに関与されることなく引き出せます。ですから、2020年02月03日の時点で韓国政府が通貨スワップ協定によって緊急時スグになんとかできそうな金額は「約973.42億ドル」です。
上掲の『聯合ニュース』の記事では、CMIとカナダを除き「6カ国と結んだ協定の融通枠の合計」を「1,328億ドル」としていますが、6カ国のみだけにすると約973.42億ドルからCMIの約115.2億ドルを引いて、計「約858.22億ドル」が本当のところではないでしょうか。
つまり、報道では469.78億ドルも盛っていると考えられます。さらに、もし韓国にまた通貨危機(ないし経済危機)が訪れたとしたら「858.22億ドル」ではとても足りないでしょう。もちろん外貨準備高が韓国銀行の公表している金額ぶん本当にあれば、なんとかなるかもしれませんが。
追記その02
なぜ現在の通貨スワップ協定の(最大上限)融通金額では足りないと考えられるのかについて、以下の記事をまとめました。実は2017年に韓国の識者が自分たちで「足りない」と告白してもいるのですが。
併せてお読みいただければ幸いです。何卒よろしくお願いいたします。
<<重要な追記>>
韓国と韓国メディアは通貨スワップ協定については「自分のいいように言う」癖があります。上記のUAEとの協定も「ない」のに「あるふり」をしていたのです。このウソについて以下の記事にまとめました。もしよろしければ併せてお読みくださいませ。何卒よろしくお願いいたします。
以下は※
※1対UAEの通貨スワップ協定が本当に更新されたのか、Money1では疑念を呈してきましたが、やっと2019年04月13日になってUAEの中央銀行から以下のリリースが出ました。つまり、やっぱりそれまでは契約できてなかったのです!
⇒参照:『UAE CENTARL BANK(UAE中央銀行)』「Central Bank of the UAE and Bank of Korea Renew AED 20 Billion Bilateral Currency Swap Agreement」
https://www.centralbank.ae/sites/default/files/2019-04/PRESS-RELEASE%20%28UAE-KOR%29%20-%20FINAL%20-KOREA%20-English.pdf
※2
カナダとの協定は以下になります。タイトルは「currency swap agreement」。本文中は「bilateral liquidity swap arrangement」。
これは通常の通貨スワップ協定ではない、という指摘があります。
⇒参照:『BANK OF CANADA(カナダ中央銀行)』「Bank of Canada and Bank of Korea sign currency swap agreement」
https://www.bankofcanada.ca/2017/11/bank-canada-bank-korea-sign-currency-swap-agreement/
※3「2020年02月03日 12:21UTC」の各通貨対ドルレートで計算。人民元はオンショア。
また、もし筆者(バカ)の計算違いなどありましたらぜひご指摘の段、お願い申し上げます。修正いたします。
(柏ケミカル@dcp)