日本ではあまり知られていませんが、中国に『58同城(58.com)』※というプラットフォームがあります。
簡単にいうと、日本で言えば「ジモティー+リクナビ+スーモ+くらしのマーケット」のような生活密着型プラットフォームです。
※「58」は語呂合わせで、「我发(wǒ fā)」(私は成功する・私は繁栄する)と音が似ていることから付けられています。
中国では非常に有名な情報プラットフォームなのですが、1万人が解雇された――という情報が出ました。
『58.com』の「中の人」と認証された人の投稿によって暴露されました。中国語メディアは一斉にこのニュースを報じており、大変に注目されています。
『聯合早報』の記事から引用すると以下のような具合です。
『58.com』が約1万人をリストラか 社員「まったく予告なしで解雇された」
中国最大の分类信息网站(ジャンル別に整理された生活情報を掲載・提供するWebサイト)『58.com』が約1万人をリストラしたと報じられており、ある社員は「何の予告もなく、午前中に会議をしていたと思ったら、午後には解雇された」と語っている。
新浪財経、瀟湘晨報、金融界などの報道を総合すると、『58.com』の社員であると認証された複数のネットユーザーが、中国の職場向けSNS『脈脈』において、同社が最近大規模なリストラを行っており、その割合は20%〜30%に達し、複数の部門に影響が及んでいると暴露している。
暴露内容によれば、『58.com』が提示した補償プランは「N+1」形式であるが、事前に何の警告もなかったという。
「N+1」とは、社員が会社に在籍した年数(N)に基づき、給与水準を加味して計算される解雇補償のことで、中国のIT・インターネット業界で一般的に用いられている制度である。
ある社員は――、
「リストラの進行は極めて迅速だった。午前中にはまだプロジェクトの進行について会議をしていたのに、午後には人事部から面談の通知を受け取った」
――と語った。
技術職の社員の一人によれば、彼の所属部門では40%がリストラされ、一部の小グループでは60%以上が削減されたという。
また、別の社員によれば、今回のリストラには研究開発(R&D)、運営、マーケティングなどの職種が含まれており、一部のプロジェクトチームは完全に解散されたとのこと。
公開情報によると、『58.com』は求人、不動産、中古車、地域生活など多数の分野で事業を展開しており、従業員数は最盛期で約4万人に達していた。
『58.com』の創業者である姚勁波氏は、今年初めの社内メッセージで、利益を出せない事業は切り捨てるべきだと強調し、「業績の悪い事業は縮小し、閉鎖・転換すべきものは閉鎖・転換せよ」と通達していた。
(後略)⇒参照・引用元:『聯合早報』「58同城据报裁员近万人 有员工称毫无预警被裁」
約4万人(ただし最盛期)を雇用していた企業が25%の人員削減すれば、なるほど1万人の解雇となります。
この『58.com』が危ないという話は、実は2022~2023年にすでに出ていました。
2022年10月、姚勁波CEOは、
「2023年には『58.com』のすべての事業が、すべての都市で黒字化するか、もしくは明確な目標や成長の兆候が見えなければ、その事業は非常に危険である」
と<全社員へのメール>を出していました。
また2023年05月には、『58.com』の「中の人」と認証された複数の人が、
「『58.com』が30~50%規模の大リストラを実施しており、補償は『N+1』方式である」
と投稿していたことが確認されています。
それにしても、午前中は普通に会議に出席したのに、午後になったら解雇でした――というのは、さすが中国というべきか、スゴイ話です。
中国では雇用情勢が逼迫しています。
(吉田ハンチング@dcp)