非常に興味深い主張を発見しましたのでご紹介します。
2021年12月31日に米韓「通貨スワップ」(ドル流動性スワップ)が終了になります。2020年03月19日に『FRB』(Federal Reserve Boardの略:連邦準備制度理事会)が世界的なドル不足に対応して発表し、これによってドボン寸前だった韓国も救われました。
03月19日は高値「1ドル=1,292.93ウォン」までいきましたが、連邦準備銀行からのドル供給が裏打ちされたため、ウォン安が止まったのです。
このように、米韓通貨スワップは韓国のドボン危機を1997年、2008-2009年に続いて救いました。
それが31日に切れますので、韓国ではあちこちで識者が延長すべきであると主張しています。今回は、カン・テス『KAIST経営大学』招聘教授の手に成るなる記事をご紹介します。
一部を以下に引用します。
(前略)
米韓通貨スワップ常設化を合衆国に要求する時だ。同盟外交のリンチピン(linchpin)になることをバイデン政権に強調する必要がある。
安保同盟の側面でも意味が大きい。同盟関係ではない中国と通貨スワップを結んだが、血盟である合衆国との常設化された通貨スワップラインがない。
米韓同盟の観点から憂慮すべき点である。
韓国が外国為替危機の状況で人民元通貨スワップを実際に使用すると、中国側への依存現象が現れることになる。韓国国民は合衆国より中国が助けてくれると認識してしまう。これは安全保障同盟にとって大きな損失になることは明らかである。
□米韓通貨スワップの約束は、それ自体韓国に対する無限の信頼表現だ。
外国為替危機に両国が共同対応するという相互連帯を示すもののだ。国際金融市場で韓国への信認を高める核心標識だ。
□先進国と自認する韓国がいつまでも為替不安に落ちていてはいけない。合衆国を差し引いた残りの8カ国との通貨スワップの中でドルに交換可能なものは一つもない。
結局急場に必要なのは米ドルだ。合衆国との通貨スワップ「一軍同盟」に加入するのが緊急の理由だ。
⇒参照・引用元:『ifs POST』「米通貨スワップ『一軍同盟』加入緊急」
よくまあこれだけ韓国にとって都合のいい話を力説できるものです。
合衆国はハードカレンシー、およびそれに準ずる通貨を持つ国の中央銀行とは常設のスワップラインを持っています。すなわち『カナダ銀行』『イングランド銀行』『日本銀行』『欧州中央銀行』『スイス国民銀行』です。
韓国の識者、メディアはこれを「一軍」と呼ぶことがありますが、「韓国も一軍に入らなければならない」という主張です。
「入らなければならない」はあんた(韓国)の気持ちであって、合衆国がどう考えるのかは全く忖度されていません。韓国の識者(メディアもそうですが)は、どうも自分たちを相対化して見ることができない方が多いです。
「米韓通貨スワップの約束はそれ自体韓国に対する無限の信頼表現だ」と書いていますが、合衆国には韓国に対する信頼などないから締結しないのだ――とは考えられないものでしょうか。
また、「脆弱(ぜいじゃく)なローカルカレンシーと常設のスワップラインを持つことは合衆国にとってリスクでしかない」と合衆国が考えるだろう――とは想像できないものでしょうか。
合衆国はこの臨時のスワップラインの期限延長をまだ公表していません。『FRB』は金融引き締め方向に向かっていますので、延長はしないものを思われます。
実際どうなるかにご注目ください。無理が通れば道理は引っ込むとも申しますので。
(吉田ハンチング@dcp)