「貿易収支」は「貿易でいくらもうかっているのか」を示す、韓国にとって最も重要な指標です。
韓国関税庁のデータによれば、2021年12月01~20日で貿易収支(輸出 – 輸入)は赤字でした。
どうせまた不可思議な黒字になるのだろう、と注目していたのですが※1――黒転しませんでした。
2021年01月01日の産業通商資源部のデータによれば以下のようになっています。
2021年12月
輸出:607億3,500万ドル(+18.3%)
輸入:613億2,100万ドル(+37.4%)
貿易収支:-5億8,600万ドル
ご注目いただきたいのは、輸入金額とその伸びです。
輸入がついに600億ドルを超えました。対前年同期比で、輸出が「+18.3%」なのに、輸入はなんと「+37.4%」となっています。
この輸入金額の伸びで、貿易のもうけを示す「貿易収支」が圧迫され、12月はマイナスのままで締まったのです。
産業通商資源部の公表データで貿易収支が赤字になったのは、実に20カ月ぶりのことです。
この前に赤字だったのは、ドボン寸前だった2020年04月で、赤字額は「-9億5,000万ドル」でした。ただ、これは「残酷な四月」※2でしたから当然の結果だったともいえます。
しかし、今回は「12月」です。
この赤字はもちろん、韓国が輸入しなければならない資源、中間財、資本財の価格が上がっているためです。
原油:+73.8%
石油製品:+177.5%
ガス:+97.1%
と特にエネルギー関連が著しい増加を示しています。産業通商資源部は「赤字は一時的なもの」としていますが、それは資源価格がどうなるのかによるでしょう。
不可思議な黒字転換が見られなかったことには少し安心しましたが、12月01~20日時点では「-26億5,500万ドル」でした。
これが「-5億8,600万ドル」で締まったということは、12月21~31日の11日間は貿易収支は「+20億6,900万ドル」で回ったことになります。
最後の11日間だけ「+20億6,900万ドル」というのは本当のことなのでしょうか。
「結局、2021年通年で輸出入・貿易収支がどうなったのか」については、明日別記事を上げます。お読みいただければ幸いです。
※1韓国の通関ベースのデータでは、月の20日までは赤字でも最後の10日間でなぜか黒字にひっくり返るという、実に不思議な現象が見られます。例えば以下の記事をご覧ください。
なぜこのような不思議な現象が起こるのかについては、韓国ウォッチャーの第一人者鈴置高史(すずおき たかぶみ)先生が「インチキ」と指摘しておられます。以下の記事を参照してください。
※2韓国ではこういう詩的な呼び方があります。外国への配当支払いが集中するため04月には資金流出が大きくなり、経常収支が赤転する可能性が高いのです。
(吉田ハンチング@dcp)