韓国メディアはなぜか日本の『TOYOTA(トヨタ)』をライバルと考えており、時に「○○の市場で販売台数が『トヨタ』を上回った!」と記事を上げます。
先にご紹介したとおり、なぜか『トヨタ』と比較する際には、『現代自動車』と『起亜自動車』を足して「勝った」というのが常です。しかし、『現代自動車』が単体で上回った時にはなぜか単体で比較します。
韓国メディア『毎日経済』に、「宿敵トヨタに「韓日戦」勝った現代車」というタイトルの記事が出ました。
2021年ベトナム市場での結果を受けての記事です。記事から販売台数を引くと以下のようになります。
2021年ベトナム市場での販売台数
第1位 『現代自動車』……7万518台
第2位 『トヨタ』……6万7,533台
第3位 『起亜自動車』……4万5,532台
第4位 『VinFast(ビンファスト)』……3万5,723台
第5位 『マツダ』……2万7,286台
確かに、『現代自動車』は『トヨタ』より上位にあり、ベトナム市場では『起亜自動車』と足さなくても『トヨタ』より販売台数は上です。
ただし、東南アジアの自動車市場を全体で見ると、ベトナムだけがヘンなのです。
東南アジア市場を圧倒する日の丸自動車
例えば、インドネシアでは日本自動車のシェアは「97%」に達します(ただし2020年基準)。
インドネシアでは『トヨタ』のシェアは「30.3%」、『ダイハツ』が「17.1%」ですので、韓国流にグループ企業で足せば「47.4%」。『トヨタ』グループはインドネシア市場のほぼ半分を押さえていることになります。
また、タイでも日本自動車のシェアは「88%」に達します(同2020年基準)。
韓国の『現代自動車』がベトナム市場で『トヨタ』に販売台数で勝った、としているのですが、実は東南アジア市場全体で見ると韓国自動車のシェアは5%前後しかないのです。
しかも、東南アジア市場全体からベトナムを抜くと、『現代自動車』『起亜自動車』の名前は消えます。
ですので、『現代自動車』が『トヨタ』に勝ったという話は、間違ってはいませんし、韓国メディアにとっては誇らしいかもしれませんが、非常に局所的な話です。
追い上げるベトナムメーカー『ビンファスト』
読者の皆さまにご注目いただきたいのは、上掲のランキングで第4位に入っている『VinFast(ビンファスト)』というメーカーです。
日本ではほとんど知られていませんが、これはベトナムのドメスティックな自動車メーカーです。この企業が第4位につけており、『起亜自動車』まであと1万台弱まで迫っています。
これは中国でおなじみのパターンにはまるかもしれません。現地企業が技術的に追いついてくると韓国企業の製品が駆逐されるというパターンです。
↑2021年にベトナム市場でベストセラーカーとなった『ビンファスト』の「Fadil(ファディル)」。年間2万4,128台を販売
その兆しは既にあって、2021年に一番売れたのは『ビンファスト』の小型車「ファディル」で、『現代自動車』の「アクセント」は2位で「1万9,956台」。後塵を拝することになったのです。
つまり、『トヨタ』に勝ったと喜んでいる背後には、地元ベトナムのメーカーがひたひたと迫っているというわけです。
日本自動車も安穏とはしていられないでしょうが、中国市場でシェアが急落したという現実がありますので、『現代自動車』『起亜自動車』はせっかく存在感を示しているベトナム市場を落とすことなどないようにしなければなりません。
(吉田ハンチング@dcp)