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韓国「尹大統領の暴言」問題。世にもあほらしい「言った」「言わない」の戦い

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韓国の尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領がアメリカ合衆国に対して暴言を吐いた――ということになっています。

録画されていた尹大統領の発言

バイデン大統領と立ち話をした後、会場から退出するときに、同行した朴振(パク・ジン)外交部長官に話しかけたのですが、これが以下のような言葉だったと報じられました。

국회에서 이새끼들이 승인 안해주면 바이든이 쪽팔려서 어떡하나
国会でこの野郎ども(後述)が承認しなければ、バイデンのメンツは丸潰れだな

一部合衆国メディアもこの報道にノるなど、問題が大きくなりかかっており(すでに野党『共に民主党』はここぞとばかりに騒いでいます)、与党『国民の力』および政府は防戦に必死です。

まず押さえておきたいのは、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は「韓国語」で話したということです。問題になったのは「새끼들」という言葉で、これは韓国では放送にはのせられないNGワード、ダーティーワードです。

ただし、ケンカなど諍いの際には多用されます。実際、韓国映画を見ると普通に使われていることに気付くでしょう。例えばアメリカ合衆国でも「mother f●cker」がテレビ放送ではピーが入るのに、映画では堂々と使われているのと同じです。

ちなみに、映画評論家の町山智浩さんの解説によれば、「mother f●cker」を最も多用する俳優の一人は、サミュエル・L・ジャクソンさんだそうです。

問題になったのどういう言葉なのか?

尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領の発言に戻りますが、どういう意味かというと、マイルドに訳せば「この野郎ども」です。「새끼들」(セッキドゥル:野郎どもに相当)がダメなのです。

「들」は名詞について複数を表します。発音は「ドゥル」「トゥル」

例えば、Webサイト『ハングルマスター』では「韓国語NGワード集「危険なスラング」使っちゃダメ!人の悪口」の中で以下のように説明されています。

【개새끼】
読み:ケセッキ

韓国ドラマでは、男同士の喧嘩などで出てくるセリフです。
訳では「クソ野郎」「この野郎」として使われます。

개= 程度の低い
새끼= 動物の赤ちゃん
※『개』は、犬という意味でもあります。
「子犬」と言いたいときは『개 새끼』分かち書き必要。

⇒参照・引用元:『ハングルマスター』「韓国語NGワード集『危険なスラング』使っちゃダメ!人の悪口」

つまるところ、ケンカの時などに使うダーティーワードなわけです。尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領の言葉を英語に訳して非難がされたりしますが、そもそも韓国語なので、どう訳すかは訳者の意図が多分に反映されます。

日本語で「この野郎どもが……」と訳すなら、確かに下品ではありますが、一発アウトというほど強い感じにはならないでしょう。「このゲスどもが……」と訳したらもっとひどい感じになります。

英語でFワードに訳したりすると、これはもう一発退場になりますね。

「새끼」が放送禁止のダーティーワードなので、多くの韓国メディアが、

국회 이 XX들이 승인 안 해주면 바이든이 쪽팔려서 어떡하냐

と「새끼」を「XX」として報じています。しかし、何と言ったのか韓国の皆さんには分かるので(動画も上がっています)、「国の格を傷つけた」と非難の声が大きくなっているのです。

「そんなこと言ってない!」と大統領室の釈明

大統領室は、米韓の関係を慮って火消しに努めています。どういう釈明をしているかというと、金恩慧(キム・ウンヘ)報道官は、

「大統領は自由と連帯のための国際社会の責任を履行しようとする政府基調を発表したが、予算審議権を掌握している巨大野党(民主党)がこのような基調を破り、国際社会に向けた最小限の責任履行を拒否すれば、国の面子が立たない可能性があるという懸念を朴振(パク・ジン)外交部長官に伝えたのだ」

「朴振(パク・ジン)長官は『野党をよく説得して予算を通過させる』と答えた」

「もう一度よく聞いてほしい。国会で承認されないと台無しになると発言した。合衆国の話が出る理由がない。ましてバイデンという言葉が出る理由もない」

と述べています。

尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領はNYにおいて「低開発国家の疾病対策に1億ドルを供出する」と宣言したのですが、これは国会の承認がないと実現しません。

バイデン大統領は「60億ドルを拠出する」と発表しました。これを評して、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が「国会でこの野郎どもが(60億ドルの拠出を)承認しなければ、バイデンのメンツは丸潰れだな」と言った――とされたわけです。

尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領の宣言は国会を通過しない可能性があり、その場合には国の面子は丸潰れです。

それを思っての発言であり、つまり「この野郎ども」というのは、韓国の国会で多数派を締めている『共に民主党』のことを指しており、また「バイデンなんて言っていない」という主張です。

「国会でこの野郎どもが承認しなければ、バイデンのメンツは丸潰れだな」ではなく、「国会でこの野郎どもが承認しなければ国のメンツが丸潰れるになるぞ」と言った、としたのです。

大統領室の釈明でも「この野郎ども」発言は確定です。後ろの「バイデン」と言っているかどうかですが……これはなかなか苦しい言い訳で、微妙というしかありません。

確かにバイデンと言ってる」という声が大きいのです。

ただ、『タモリ倶楽部』の人気コーナー「空耳アワー」と同じで、テロップを出されると「そう聞こえる」と思えるのも確かです。

つまるところ「政争の具」

ともあれ、『共に民主党』議員は(文在寅大統領の外交惨事をすっかり忘れて)尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領を非難しています。

日本人からすれば世にもあほらしい議論に見えるのですが、与党・野党の足の引っ張り合いは激化しており、両陣営とも真剣です。

尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領はいい教訓を得ました。政治家になったらカメラが入っているところでは、うかつなことを決して言わないことです。

(吉田ハンチング@dcp)

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