韓国メディア『毎日経済』の記事のタイトルがこうなっているのですが、韓国鉄道産業が脱線の危機――なんの話かといいますと、韓国の鉄道車両メーカーの苦境についてです。収益性が悪く、技術力も低いという話です。
海外で勝負しないといけない韓国の鉄道車両メーカー
そもそも韓国内の鉄道車両メーカー3社(最大のメーカーは『現代ロテム』/同紙の記事ではA・B・C社と仮名にしています)は、国内の需要だけでは食べていけないのです。
同紙の報道によれば、2021~2025年発注予定の電車の車両は2,260両(2兆4,634億ウォン/約2,365億円)。
1年間にならすと車両発注規模は「450両」。しかし、3社合計で生産能力は年間「1,300両」分もあるのです。
明らかに能力過剰です。能力が余っており、この余剰生産力は海外市場に振り分けないと仕方がないのですが……。
韓国鉄道車両メーカーの技術力が伸びない理由
海外市場で韓国の鉄道車両メーカーが勝負するのは、なかなか難しいのです。競争相手が強いからです。中国市場は中国企業の牙城ですし、技術力では日本企業、EU圏企業に勝つことは容易ではありません。
同記事では韓国の鉄道車両メーカーの技術力が伸びないのは「R&D」(Research and Developmentの略:研究開発)にお金がかけられないからで、お金がかけられない理由は国内市場で利益が出せないから、としています。
2015~2021年に韓国内で実施された鉄道車両の入札発注単価は、平均1両当たり約9億7,000万ウォン(約9,312万円)とのこと。
この金額は『現代ロテム』(記事内では「C社」としています)の輸出単価「17億2,000万ウォン」(約1.7億円)と比較すると、ほとんど半額のレベルです(正確には56.4%)。
つまり、国内の車両受注ではほとんど利益が出ず、そのためR&Dに回せるお金が少なくなり、その結果、技術力が上がらず、競争力も向上しないという説明です。
2019年:1,170億ウォン(約112億円)
2020年: 895億ウォン(約86億円)
⇒参照・引用元:『毎日経済』「K전동차 입찰의 민낯…안전보다 최저가 우선」
実際、上掲のように研究開発費は非常に縮小しています。
というわけで、韓国の鉄道車両メーカー『現代ロテム』がトルコや台湾で受注に向けて必死なるのは、国内の薄利小売の市場では商売にならないからなのです。
(吉田ハンチング@dcp)