『韓国銀行』によれば、韓国の『貯蓄銀行』(相互貯蓄銀行)が企業に貸し出した融資残高が過去最高になりました。
2021年04月末時点で2007年以降最大の「48兆9,992億ウォン」(約4兆7,039億円)を記録。前年同期比で20%も増加しています。
「貯蓄銀行」というのは、日本ではあまり知られていませんが、韓国ではポピュラーな存在です。簡単にいうと、低所得であったり低信用であったりする人(また企業)をメイン顧客とした銀行です。低信用の人にも信用貸しを行ってくれますし、住宅ローンを組むこともできます(その代わり普通の市中銀行より高利)。
この『貯蓄銀行』はその性格から中小企業の融資が多く、中小企業融資残高は「46兆7,600億ウォン」(約4兆4,890億円)と全体の「95.4%」を占めています。
「元利支払いの猶予措置」が間もなく切れる
心配されるのは「不良債権」です。大企業よりも経営基盤が脆弱と考えられる中小企業が借り手の大多数を占めていますのので、何かあったら一気に不良債権化するリスクがあります。
その「何か」の一つが「元金返済満期延長・利子償還猶予措置」です。
2020年、コロナ禍の中、韓国政府は借金の元本返済、利子払いを猶予する措置を打ち出し、現在はまだこれが有効です。つまり、借金返済を猶予されている状態なのです。
しかし、これが2021年09月末に期限を迎えます。
そうなった際に返済できない中小企業がどのくらい出るのか、まだ予測はありません。現在は見えないリスクが一気に顕在化する可能性があります。『貯蓄銀行』が抱える不良債権の規模が初めて可視化されるかもしれません。
(吉田ハンチング@dcp)