そんな金利を返済できるのか、という話です。
韓国の資金調達市場の金利が急騰している件です。『韓国レゴランド』のABCP(Asset-Backed Commercial Paper:資産担保コマーシャルペーパー)不渡り、『興国生命』による永久債のコールスキップ宣言によって、信用が失墜。
債券・CPなどの金利が急上昇して、それはいまだ収まっていません。そのため韓国企業は洒落にならない金利で資金調達を行っています。
特に不動産関連のPF(プロジェクトファイナンス)の金利が無茶苦茶なことになっています。
ABCPの金利が20%を超えた!
大規模な不動産開発の場合、巨額の資金が必要です。
これを集めるのに『韓国レゴランド』のようにABCPを発行するのが常套手段なわけですが、この場合の担保は開発するものが生み出すキャッシュフローなどになります。このキャッシュフローの読みが外れると「そんな資産にはならなかったじゃん」となって、レゴランドのように「もうやめよう」となってしまいます。
『韓国レゴランド』のABCPが先例を作ったため、PFの資金調達がこれまでの金利ではダメで、高金利でないと引き受け手がいないという事態になっているのです。
韓国メディア『毎日経済』の記事から以下に引用してみます。
(前略)
一部不動産プロジェクトファイナンシング(PF)資産流動化企業手形(ABCP)の場合、取引金利が20%に達する姿も捉えられた。14日、特殊目的会社(SPC)『パインウノ』が発行し、『GS建設』が信用を補強したABCPは、年20.3~21%水準の金利で取引が成就した。
(後略)
『GS建設』という有名建設会社が信用を補完しても金利が「20.3~21%」になり、しかもそれで発行したというのです。
無茶苦茶という他ありません。これを返済できるのかという話です。
韓国の有名企業でも「7%」「8.5%」の高金利
PF絡みだけではないのです。
『サムスングループ』や『ロッテグループ』など、韓国を代表する企業でも高金利にあえいでいます。
2022年11月15日には、韓国造船業Top3の一角である『サムスン重工業』が2年物の社債500億ウォン規模を金利「7.1%」で発行。
17日、『釜山ロッテホテル』は、1年物の社債400億ウォン規模を「8.5%」の金利で発行しています。
資金調達の高金利地獄です。
社債、CPの金利が高騰しているため、企業は銀行融資に殺到しているのですが、銀行は銀行で銀行債を発行して資金を集めています。
資金需要に応えるために銀行も資金を集めないといけないからです。
『金融投資協会』のデータによれば、11月18日基準で銀行債の発行額は「186兆5,690億ウォン」と史上最高規模に達しています。すでに2021年の「183兆2,123億ウォン」を抜いているのです。
銀行は信用度が高いということになっていますので、銀行債が巨額発行されると信用度の低い企業の債券にはますますお金が回らなくなります。買い手は信用度の高い債券に向かいますから。
そのため、韓国の金融当局は「銀行債の発行を自粛せよ」としているのですが、そうなると銀行の貸し出し金額が減少することになります。
つまり、韓国の資金調達市場はいわば袋小路のような状況に陥っています。
この資金調達難が継続されると、お金を調達できなかった企業が飛ぶ可能性が高まります。もう韓国金融当局が実弾を突っ込まないとお金が回らないのではないか、という状況なのです。
(吉田ハンチング@dcp)