中国の若者の失業率「また最低を更新」。中国の雇用統計は歪められている

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2023年06月15日、中国の国家統計局は失業率のデータを公表しました。


↑国家統計局が公表した資料から該当箇所を抜粋/スクリーンショット

これによると全国の都市失業率は「5.2%」で対前月比からの増減はありませんでしたが、16~24歳の若年層の失業率は「20.8%」と過去最高を更新しました。

「六、就业形势总体稳定,城镇调查失业率与上月持平(雇用情勢は概ね安定しており、都市部失業率調査は前月比横ばいとなっている)」と書いてあるのですが、「横ばいにしているんじゃないのか?」と疑わざるを得ません。

中国人の雇用がない人、特に若い世代の声をSNSで拾ってみるだけでも怪しいことこの上ないのが分かります。

また、『Radio Free Asia』が「中国の雇用統計は歪められている」というそのものズバリの記事を出しています。記事から指摘を引用してみると以下のようになります。

(前略)『北京改革発展研究院』の王明远研究員の分析を掲載し、現在の中国の失業統計は歪んでおり、主に3つの問題があると指摘した:

第1に、中国の公的な雇用基準が低すぎる点だ。 『国際労働機関』(ILO)が定める雇用基準は週10時間、アメリカ合衆国は週15時間、フランスは週20時間だが、中国は週1時間で雇用とみなす基準としている。1時間の労働では、日常生活を支えるほどの収入は得られず、有効な雇用とはいえない。

第2に、中国当局は都市部の失業統計に農村部の戸籍を持つ人々を含めているが、出稼ぎ労働者が都市部で職を失った後、高い生活費を払えず故郷に戻るため、都市部の失業調査でこのグループを把握することは難しく、データに偏りが生じる。

第3に、中国には現在2億人の「フレックス雇用者」がおり、都市部の労働者の約40%を占めている。 しかし、この層の社会保障加入率は20%未満であり、失業保険受給や失業登録などの指標で真の雇用状況を測定することは困難である。
(後略)

⇒参照・引用元:『Radio Free Asia(中文版)』「学者:中国失业统计失真 就业形势严峻」

読者の皆さんも驚かれるかもしれませんが、中国当局は「週1時間の労働でも雇用とみなす」という基準で雇用統計を作成しているというのです。無茶苦茶という他ありませんが、これが本当であれば「若者の失業率が20.8%」にとどまっていることも理解できます。

統計がいい加減過ぎて、若者の肌感覚の失業率とまるでずれているのです。

上掲記事は04月の雇用統計のデータを基に書かれたものなので、元記事に当たってみられると分かりますが、記事内では「16~24歳の失業率は20.4%」となっています。

しかし、上掲のとおり05月のデータとして国家統計局が公開したのは「20.8%」と過去最高を更新しました。失業率はさらに悪化したと考えねばなりません。

中国都市部の若い世代は「仕事がない」という深刻な危機に直面していると考えるべきなのです。

(吉田ハンチング@dcp)

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