『Financial Times』が「China’s battery plant rush raises fears of global squeeze(中国のバッテリー工場建設ラッシュが世界的な逼迫を招く恐れ)」という記事を出しています。
中国というのは不思議な国で、「もうかるかも……」となれば我も我もとイナゴのように集まって起業し、その市場を安値競争のレッドオーシャンにして共倒れに導きます。
直近では「電気自動車」がまさにそうで、猫も杓子も電気自動車会社を設立し、中国市場を安値ダンピングの戦いとしてしまいました。
なにせ、宇宙一の不動産屋(ディベロッパー)と称された『恒大集団』が、なんのノウハウも技術もないのに電気自動車会社を設立するような国なのです。読者の皆さんもご存じのように、この『中国恒大新能源汽车集团有限公司』(『恒大新エネルギー自動車』)は大赤字となっています。
しかも、『恒大集団』の債務調整のため、同社の新株をタネにする始末です。
どうしようもない人たちだ――という話なのですが、「少中国」である韓国も似たようなところがあります。
最近の例でいえば、車載用二次電池がそうです。
『サムスン』『LG』『SK』が、知的財産権の剽窃なども行いつつ、どつき合いを演じながら業績を伸ばしてきました。世界に冠たる「K-バッテリー」などと誇っているのですが……。
そのK-バッテリーも、安値叩き合いで中国メーカーに負けかけています。
イナゴのような中国企業の勢いが増しているからです。
『Financial Times』の記事は、コモディティ調査グループ『CRU』のデータを引用し、「中国のバッテリー工場の生産能力が今年1,448GWhに達する見通し」と報じています。
これがどのくらい恐ろしい数字かというと、1,448GWhは、電気自動車2,200万台の製造に使用できる容量なのです。
中国内のバッテリー需要予測値は「636GWh」ですから、生産量は需要の約2.3倍に当たります。
つまり、バッテリーがじゃぶじゃぶに余るのです。
実は、2022年も中国製バッテリーの過剰供給でした。
2022年のバッテリー生産量は545.9GWh。
中国内の電気自動車用需要「294.5GWh」と固定型エネルギー貯蔵用需要「84.3GWh」、輸出量「68.1GWh」を合わせても「446.9GWh」です。
単純に引き算しても「99GWh」規模の中国製バッテリーが余ったことになります。
2023年には過剰供給がさらに進むのです。
無茶苦茶という他ありませんが、中国メーカーは国による補助金、銀行融資などを基にバッテリー工場の拡張に積極的に取り組んでいます。
ところが、CRUの分析では、現在、中国のバッテリー工場の平均稼働率は55%に過ぎません。欧州のバッテリー企業の場合には、工場稼働率が70%以上でなければ、金融圏から資金を調達できないのとはまさに対照的です。
この無茶苦茶に過剰供給されたバッテリーが世界市場に向かうのです。
何が起こるかは火を見るよりも明らか。安値のたたき売り、ダンピング競争です。
国による補助金に支援された中国企業は先のことも考えず、世界市場を食い荒らすことになるでしょう。
こういうことにならないように、WTOでは国の補助金についてうるさく取り決めているのです。しかし、中国はWTOに加入した際の約束を守らず、むしろ国営企業を増やしています。
これだけとってみても、中国がいかに無法な国であり、約束を守らない国であるかが分かります。中国はWTOから叩き出されるべきであり、中国製品についての関税を(べらぼうに)上げるべきです。
さて、このイナゴの群れに韓国のバッテリー企業は立ち向かえるでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)