2019年12月05日、韓国銀行から韓国の10月の経常収支は78億3,000万ドルの黒字となっています。これについて『Yahoo!Japanニュース』に「10月輸出急減したが…経常黒字1年ぶり最大=韓国」という記事が出ています。
⇒参照・引用元:『Yahoo!Japanニュース』「10月輸出急減したが…経常黒字1年ぶり最大=韓国」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191206-00000012-cnippou-kr
しかし、この記事タイトルはミスリードといわざるを得ません。この記事のタイトルだけ読んだ人は、経常黒字が最大値を更新した、みたいに受け取るでしょう。2019年も終わりそうになったこの時期に韓国経済が復調したと思うかもしれません。
事実は違います。韓国銀行のデータを基に2018年と2019年の経常収支のデータを比較すると以下のようになります(韓国銀行の公表データを基に筆者が作成)。
注意していただきたいのは、グラフの「月」は韓国銀行からの発表月です。上記記事内にある78億3,000万ドルは2019年12月の箇所にあるオレンジの棒グラフです。これが2019年10月の経済収支。横に左隣の青い棒グラフが2018年10月の経済収支になります。
2018年と2019年を比較していただければ分かりますが、韓国は2019年04月(発表/つまり02月分)以降、経済収支はずっと9カ月連続前年比割れというのが真実です。その上、06月(発表/つまり04月分)の経済収支はなんと赤字でした。
上記の記事タイトル「経常黒字1年ぶり最大」というのは、2019年12月(発表/つまり10月分)のオレンジの棒グラフが12カ月ぶりの金額になったという指摘に過ぎません。
記事タイトルは「経常黒字が最大値を更新した」みたいに受け取ってほしいという考えから付けられたのでしょうか。
しかも、『聯合ニュース』の日本語版のサイトにいくと「最大」なんて表現は使われていません。「10月の経常黒字78.3億ドル 1年ぶり高水準=韓国」という記事タイトルで、「最大」という読者のミスリードを誘うような言葉は使われていません。『Yahoo!Japanニュース』が引いている『中央日報』の記事がミスリード元ですね。
⇒参照・引用元:『聯合ニュース(日本語版)』「10月の経常黒字78.3億ドル 1年ぶり高水準=韓国」
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20191205000300882
念のために『Yahoo!Japanニュース』と『聯合ニュース』との記事タイトルの比較を上掲しておきます(この記事を制作している12月07日00:10時点)。
繰り返しますが事実は違います。少なくとも韓国銀行の公表(速報)データを基にすれば上掲のグラフのようになり、韓国の経済収支、経常黒字は前年比で縮小を続けているのです。
(柏ケミカル@dcp)