『Moody’s(ムーディーズ)』中国をネガティブに格下げ! ウソばかり言うからこうなる

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2023年12月05日、世界的信用格付け会社『Moody’s(ムーディーズ)』は非情な判断を下しました。しかし「ざまあ」な話でもあります。

『Moody’s』は、中国の政府信用格付けの見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げました。

債務が巨額に膨らみ、経営難に陥っている地方政府や国有企業に対する支援や救済の可能性が、中国の財政、経済、制度の信用度を低下させると予想したのです。

一応、中国国債の長期格付けは「A1」を維持したものの、中国の年間GDP成長率は2024年と2025年には4%に減速し、2026年から2030年までは平均3.8%に下がると予想しました。

韓国に遅れましたが、中国もまた人口が自然減少フェーズに入ったと見られており、韓国と同様に日本よりも急速に老いていきます。『Moody’s』はこの人口動態の弱さによって、2030年には3.5%まで低下するとに付言しています。

そもそも中国のGDP成長率は脚色が入っていると見られますので、メンツもあって中国当局はこれ以上の数字を発表するかもしれません。しかし、恐らく中はグズグズのはずです。

この『Moody’s』のネガティブ判断が頭にきたらしく、中国財政部はさっそく以下のようなプレスリリースを出しました。

記者からの質問に関係責任者同志が答えた、というていになっていますが、要は『Moody’s(ムーディーズ)』の判断は「おかしい」と全力否定しています。

一応全文を以下に和訳しますが、面倒くさい方は飛ばしていただいても大丈夫です。

2023年12月05日 ソース:財政部報道局

財政部の関係責任同志は、『Moody’s(ムーディーズ)』が中国の格付け見通しを引き下げたことに関する問題について、記者のインタビューを受け入れた。

記者質問:
12月5日、ムーディーズは報告書を発表し、中国のソブリン格付けを据え置いたが、格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に調整した。

回答:
『Moody’s(ムーディーズ)』が中国のソブリン格付けの見通しを引き下げたことには失望している。

今年に入ってから、複雑で厳しい国際情勢に直面し、世界経済の回復の勢いが不安定で弱くなっていることを背景に、中国のマクロ経済の回復は改善を続け、質の高い発展が着実に進んでおり、特に第3四半期以降、プラスの変化がさらに拡大し、内生的な勢いが増し、経済成長の新たな原動力がプラスの役割を果たし続けており、第4四半期には、中国経済は回復とプラス基調を維持し、中国は引き続き世界経済の安定成長の重要な原動力になると予想される。

中国は依然として世界経済の安定成長の重要なエンジンである。『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)は、中国の世界経済成長への寄与が今年30%を超えると予想している。

景気回復の上昇傾向に伴い、財政収入も回復基調を維持している。

第1~3四半期において、中国の一般公共予算収入は前年同期比8.9%増、そのうち税収は11.9%増となった。

これは、年初からの持続的な景気回復と全体的な好転に牽引されたものである。

財政支出の進展は相応に加速しており、主要な支出は十分に守られている。

第1~3四半期において、国の一般公共予算支出は前年同期比3.9%増となり、社会保障・雇用、教育、科学技術、保健衛生、農林水利などの主要分野の支出はよりよく保障された。

地方財政収入は総じてプラス成長を維持し、地方一般公共予算収入は前年比9.1%増となり、半数近くの地域で二桁の伸び率を記録した。

これらの事実はすべて、中国経済が質の高い発展へと移行していること、中国経済成長の新たな勢いが機能していること、中国には引き続き改革を深化させ、リスクや課題に対処する能力があることを示している。

中国の経済成長の見通し、財政の持続可能性などに関する『Moody’s(ムーディーズ)』の懸念は不要である。

記者質問:
『Moody’s(ムーディーズ)』は中国の経済成長の減速リスクを指摘しましたが、今年と中国のマクロ経済成長の将来をどのように見ていますか?

回答:
今年はコロナ禍の影響から中国経済の回復の最初の年であり、正常に海外からのリスクと国内の複数の要因の絡み合いと重複によってもたらされた下向きの圧力の課題に耐え、景気回復が異なる四半期間で変動するものの、全体的に良好にリバウンドし続け、前年同期比5.2%のGDP成長率を達成している。

中国の経済成長に対する内需の寄与度は上昇を続けており、最終消費支出の経済成長への寄与度は83.2%で、GDP成長率を4.4%ポイント押し上げ、総資本形成の経済成長への寄与度は29.8%で、GDP成長率を1.6%ポイント押し上げた。

最近、世界銀行、国際通貨基金(IMF)、経済協力開発機構(OECD)が発表した予測では、中国は予想される5%の成長目標を達成できるとされている。

今後を展望すると、中国経済には大きな発展の弾力性と潜在力があり、長期的な改善のファンダメンタルズは変わっておらず、今後も世界経済成長の重要なエンジンであり続けるだろう。

中国には14億の人口と4億を超える中所得層という強力な国内市場があり、需要の潜在力は大きい。

雇用と物価はおおむね安定しており、コロナ禍の傷跡は徐々に薄れつつあるため、経済サイクルはさらに妨げられなくなる。

新たな発展パターンの構築を加速し、質の高い発展を推進しており、新旧の運動エネルギーは整然と転換しており、内発的な勢いは絶えず増している。これらは中国経済が効果的な質的向上と合理的な量的成長を達成することを後押しする。

記者質問:
地方債務の問題は、国際的な格付け会社から常に高い関心を持たれており、今回『Moody’s(ムーディーズ)』は特にこの点について懸念を示していますが、これについての見解を聞かせてください。

回答:
ここ数年、関係部門と地方政府の持続的な努力により、中国における地方債務リスクの防止・解決体制が確立され、地方政府による違法・無秩序な債務調達の拡散・拡大がひとまず抑制され、地方債務処理において前向きな成果が得られている。

2022年末現在、全国の地方政府の法定債務残高は35.1兆元で、予算管理に含まれる中央政府の債務残高25.9兆元と合わせると、国家政府の債務残高は61兆元となる。

国家統計局が発表した2022年のGDP速報値121兆200億元に基づくと、国家政府の債務比率(政府債務残高のGDPに対する比率)は50.4%である。

国際的な警戒ラインである60%を下回り、主要市場経済国や新興市場国よりも低い。

地方政府の隠れ債務については、中国共産党中央委員会と国務院の決定と配置に従い、財政部は関連部門と連携して、地方政府の隠れ債務リスクを防止・解決するための政策措置パッケージを打ち出した。

第一に、定期的な監視メカニズムを改善する。

各部門間の情報共有と共同監督を強化し、統一的な理解、統一的な調整、統一的な監督を行い、データの比較と検証を強化し、フルカバレッジの実現に努める。

第二に、隠れ債務の増加を断固として抑制する。違法な債務融資の「裏口」を厳しく封鎖し、リスク管理とコントロールの源を強化することに重点を置き、予算制約を強化し、地方建設プロジェクトの厳格な監査を要求し、新規プロジェクト融資の財務「門」をコントロールし、地方国有企業や機関の債務融資コントロールを強化する。

法律に違反して地方政府の債務を調達することは厳禁であり、新規プロジェクトや新規失速に新たな隠れ債務を追加することは決して許されない。

第三に、隠れ債務の残高を着実に解消することである。

市場原理、法治主義に基づく債務不履行処理メカニズムを確立し、隠れ債務ストックを着実に解消し、法に基づき債務者と債権者の間で合理的なリスク分担を実現する。分類と慎重な処理を堅持し、政府投資資金、政府購入サービスの不正を是正する。

第四に、監督と説明責任のメカニズムを改善する。

説明責任、逆説明責任の制度と方法の導入を推進し、説明責任違反を断固として調査し、対処する。地方政府を監督し、説明責任メカニズムを改善し、違法な債務融資行為を続けているものに対して、一人を発見し、一人を調査し、一人に対処し、一人に説明責任を負わせ、一人に終身責任を負わせ、一人に逆責任を負わせる。

実施状況から、全世界の各部門の共同努力を通じて、地方の隠れ債務の規模は徐々に減少し、リスクは緩和されている。

地方政府の融資平台の債務に対して、 財政部は中国共産党中央委員会と国務院の決定と配置を真摯に実行し、地方政府融資プラットフォーム企業のガバナンスを強化するための一連の措置を講じている。

第一に、引き続き融資管理を規制し、新たな融資平台の設立を厳しく禁止する。

第二に、融資情報の開示を規制し、地方政府の信用との結びつきを厳しく禁止する。

第三に、融資プラットフォーム企業の負債と資産を適切に処理し、政府融資機能を切り離し、地方国有企業や機関の「プラットフォーム化」を防止することである。

記者質問:
『Moody’s(ムーディーズ)』は、不動産業界の調整が地方財政に与える影響について問題提起したが、どう考えるか。

回答:
われわれは地方財政の運営を非常に重視しており、地方財政の円滑な運営をサポートするために多くの措置を講じてきた。

第一に、中央政府から地方政府への移転支出を積極的に手配し、地方の経済・社会発展を強力に支援している。

第二に、地方に対して、資金協調を強化し、支出構造を最適化し、資金ストックを活性化し、損失と浪費を回避し、財政資金の使用効果を継続的に高めるよう促す。

第三に、地方税制をさらに改善し、標準化された安定的かつ持続可能な地方税制を徐々に確立することである。

特筆すべきは、土地交付金収入が地方政府資金予算の主軸であることである。

土地交付金収入は総収入であり、収入が減れば、解体や移転補償などの高額な支出を減らすことができる。

近年、不動産市場の影響で不動産関連税収は減少しているが、地方一般会計予算に占める割合は大きく後退していない。

全体として、不動産市況の悪化が地方の一般公共予算や政府基金予算に与える影響は、コントロール可能で構造的なものである。

⇒参照・引用元:『中国 財政部』公式サイト「财政部有关负责同志就穆迪下调我主权信用评级展望有关问题答记者问」

上掲のとおり、公表されている自身に都合のよい数字を引用して「大丈夫だあ」と言っています。中国の場合は、自身にとって都合の悪い数字はそもそも公表されませんので、信用できるかどうか不明です。

例えば、国家債務を対GDP比で50.4%とし、警戒ラインとされる60%下だから大丈夫だあ――としています。しかし、これには地方政府の隠れ債務といわれる融資平台の債務は入っていません。

インタビューの回答で自ら「地方政府の隠れ債務については……」と言及しているくせに、それが幾らなのか、足し込んだときに対GDP比で何%になるのか、一切出てきません。

政府負債を考えるときには、中央政府・地方政府の負債を足しこんで比較しなければなりません。そもそも隠れ債務があること事態が問題ですが、中国財政部はこの問いに答えていないのです。

それなのに「これ以上の融資平台は設立させない」とか「隠れ債務の残高を着実に解消する」とかいわれても、煙に巻こうとしているとしか思えません。

隠れ債務が幾らあるのか、それを足し込んたときに対GDP比で何%になるのか、「事実」が問題なのです。

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上掲の記事でもご紹介した、約66兆元(約1,326.6兆円)というのも『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)による推計に過ぎません。

実際に中国当局がリスク管理を行えているのかどうか非情に怪しく、信用するわけにはいきません。だって数字が出てきませんし、平気でウソを言い、データを隠蔽する国なのですから。

(吉田ハンチング@dcp)

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