中国の海関総署が2023年12月の輸出入動向のデータを公表したのですが、これが興味深い結果となっています。
当局は「2023年12月は(ドルベース)で、輸出は前年同月比2.3%増、輸入は同0.2%増と好調だった」としています。
しかし、問題は「通年」のデータです。
輸出:3兆3,800億ドル(-4.6%)
輸入:2兆5,500億ドル(-5.5%)
貿易収支(輸出 – 輸入):8,300億ドル
※( )内は対前年比の増減
上掲のとおり、中国の輸出入は対前年比で減少しました。中国の輸出が対前年で減少したのは2016年以来のことです。
中国当局は「中国経済は力強く成長している」などと喧伝していますが、「ほんとぉ?」と言いたくなる結果です。
その一方で貿易額を増やしている国があります。ロシアです。「中国 – ロシア」の無法者同士の連帯、いわば「さびしんぼう同盟」ですが、この2国間の貿易は増加の一途をたどっています。
2023年の結果は暫定ながら「2,401.1億ドル」で、対前年同期比で26.3%増加しました。
驚くべき伸びですが、
2021年:1,468.8億ドル(35.8%)
2022年:1,900.0億ドル(29.3%)
2023年:2,401.1億ドル(26.3%)
と、直近3年は驚異的な伸びを続けています。ちなみに中露貿易が2,000億ドルを超えたのは、今回が初めてのことです。
2023年の対ロシア貿易額を輸出入に分解すると、以下のようになります。
対露輸出:1,109.7億ドル(+46.9%)
対露輸入:1,291.4億ドル(+12.7%)
貿易収支(輸出 – 輸入):-181.7億ドル
中国は対露貿易では実は赤字です。
中国は自動車やスマートフォン、工業機器、特殊設備、玩具、エアコンとコンピューターなどの電子製品を主に輸出し、ロシアからは石油や天然ガス、石炭、銅、木材など原材料、シーフードなどを主に輸入しています。
ロシアにお金を稼がせ、かつロシアが継戦能力を維持するのを助けているわけです。あらためて言うことでもありませんが、中国は、ロシアによるウクライナへの不法な侵攻を助けているのです。
(吉田ハンチング@dcp)