韓国政府は「外貨不足」(ドル不足)に対応するのに大わらわの状況です。
「FEDと韓国銀行の通貨スワップ(スワップライン)が結ばれてひと息ついた」なんて感想が出た上に、「これでは十分ではない」といった意見が出るのは、ドル不足がいかに深刻かの証明です。
2020年03月26日、韓国メディア『ハンギョレ新聞』に「政府、LCR規制70%に緩和…外国為替健全性負担金も一時免除することに」という記事が出ました。
政府は国内の金融機関の外貨流動性確保のために外貨流動性カバレッジ比率(LCR)を既存の80%から70%に下げることにした。
(後略)⇒参照・引用元:『ハンギョレ新聞』「政府、LCR規制70%に緩和…外国為替健全性負担金も一時免除することに」(原文・韓国語)
※赤アンダーラインは筆者による
最初の文だけ引用しましたが、銀行に勤務するなど金融関係の仕事をしていらっしゃる方しか、何をいっているのか理解できないかもしれません。普通の人は「LCR」なんていわれても分からなくて当然です。
しかし、この記事もまた「韓国の『ドル不足』(外貨不足でもいいですが)」の深刻さを伝えているのです。
まず、日本では「流動性カバレッジ比率」(Liquidity Coverage Ratio:略称LCR)という言葉が一般的で、特段「外貨流動性カバレッジ比率」とはいいません。
実は、韓国ではラスボス・BIS(Bank for International Settlementsの略:世界決済銀行)からの勧告によって、国内金融機関が「外貨の流出危機に耐えられるかどうかの基準」として、「外貨流動性カバレッジ比率」というハードルを課しているのです。
2015年に導入された「外貨流動性カバレッジ比率」は、「金融機関が保有する『すぐに外貨に換えられる資産』」を「30日間で流出すると想定される外貨の量」で割って比率を算出します。
つまり、「30日間に流出する外貨量」と「その銀行が保有する『すぐに外貨に換えられる資産』」が等しければ100%になるわけです。
2019年にはこれが「80%」以上でないといけませんでした。この基準であれば「30日×80%=24日」で、外貨流出の危機に「24日間」は耐えられるわけです。
で、今回の企画財政部の発表によれば、この80%を3カ月間(2020年05月末まで)「70%」に緩和するというのです。
80%から70%に減った、その10%分、銀行は保有しなくてもいいので、つまり「使える」わけです。
簡単にいえば「その10%分を使って外貨の流動性を増やそう」ですし、悪くいえば「お前らの保有している外貨を吐き出せ」ということです。
というわけで、韓国のドル不足はとても深刻と考えられるのです。
(柏ケミカル@dcp)