「四月危機」が現実のものとなってきた韓国経済ですが、原油価格の下落によって石油精製企業がピンチに陥っています。
『韓国経済』2020年04月02日の記事から一部を引用します。
国際原油価格が1カ月間で1バレル当たり50ドルから20ドルまで急落し、石油精製・造船・建設など国内伝統産業が「収益の崖」に追い込まれている。
原油価格が急落したことで、原油を精製して生産した石油製品の価格が原油導入価格よりさらに低くなっている上、石油関連プロジェクトが次々と中止になっているからだ。
(後略)関連業界によると、SKイノベーション、GSカルテックス、現代オイルバンク、エスオイルの韓国石油精製4社は先月中旬から一日最大700億ウォン(約62億円)の営業損失を出していることが分かった。
⇒参照・引用元:『韓国経済』「原油余りの津波…石油精製4社、一日700億ウォンの損失」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)
毎日最大700億ウォンの損失というのはにわかに信じられない額ですが、なぜそんなことになるかというと……。
(前略)
先月の国内企業の精製マージン(石油製品価格-原油導入価格)は、1バレル当たりマイナス1.1ドルと、製品を生産するほど損失が生じるものとなっている。これも高度な精製設備を100%適用した場合を仮定した数字だ。古い設備が大半の国内企業の精製マージンはこれよりはるかに悪く、深刻だというのが製油業界の説明だ。
これを考慮すると、一日250万バレルほどの石油製品を生産する国内企業の精製マージン損失金額は600億ウォンに上り、在庫とウォン安による為替差損を追加すれば700億ウォンまで増えるというのが、業界専門家の分析である。
中東から原油を輸送する期間に原油価格が急落し、石油製品価格はさらに落ち、製品の販売損失と在庫損失が急激に増えている。
(後略)
原油価格の急落に伴い石油製品価格が下落しているため、いわば逆ざや状態になって、精製すればするほど赤字となっているという説明です。
さらに新型コロナ騒動によって、航空会社が飛行機を飛ばせない、人の移動が制限されているためクルマが動かない、企業の工場が稼働しないといった状況に陥っているため、石油製品の需要は激減しています。
・航空燃料は「たたき売り」状況
・02月段階でガソリン消費は1年前比で30%減少。03月はさらにひどい結果になる
(韓国ガソリンスタンド協会による)
・電力会社の03月の電力予備率は「平均40-50%」
つまり、電気供給量の半分程度しか使用していない
(⇒発電所の石油製品需要が減少する)
と、全ての警報ランプが点灯したような状況で、さまざまな指標が石油精製企業の苦境を示しています。
(前略)
精油業界の関係者は、「今の状況が改善せず続けば、精油会社は稼働率を最大50%まで下げるか、工場を閉めることも考慮する」とし「この状態が数カ月持続すれば、精油企業で倒産するところが出ても全くおかしくない状況」とした。
と、同記事では関係者の声を引いていますが、韓国の石油精製企業はまさに頓死寸前の状況となっているのです。
(柏ケミカル@dcp)